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ワーランド領の騒動(5)

『お前のものは俺のもの。俺のものは俺のもの。』


 所謂いわゆる、ジャイ〇ン理論というヤツですね。


『ワーランド領は、此度の【ソロムの魔獣暴走スタンピード】鎮圧で大きな貢献をした。

 内容としてはリード・ワーランドによる高位魔石の供出。

 ただ、リードは妾腹の出であることから、ワーランド領の成果は当主たるエーデ卿に帰属する。

 そのため、エーデ卿に対し、各男爵家は。これまでの貢献や、これからの活躍の可能性を踏まえ、いろいろと支援をしてもらいたい。』


 まあ、分かってはいましたが、本当にワーランド領内の貴族の思考はこんな感じです。

 さながら、彼らにとっては宝くじが当たったというところでしょうか。


 当然ながら、僕がそんな理屈を認めるわけはありません。

 当然ながら、伯爵も、そんな義理はワーランド家にありません。

御屋形様(ダルトーム伯爵)がワーランド家に求めるのは、ワーランド領から産出される穀物の確保と、深層魔装を操り高位魔石を確保できる一流の探索者……つまり、僕……の確保です。


 当家の家宰兼伯爵家監査役であるウェリス先輩は、アルト卿の来訪を機として、各男爵にとある通知をしました。


 ◇


 ダルトーム地方においては、『いにしえからの協定』による寄親寄子間の約束ごとがある。

 各家においては、引継ぎの関係上、当主しか知らないことかもしれないが、伯爵家にとってはどうでもいいことである。


 『いにしえからの協定』とは、かつて、ダルトーム地方が一つの『邑』であり『国』であったとき、外敵や魔獣に備え、武力による協力関係を築いたものであり、その協定を裏切り他国につく領があれば、伯爵家は武力介入するという、そういう約束事だ。


 今回、【ソロムの魔獣暴走スタンピード】鎮圧においては、ワーランド領から産出された高位魔石が非常に大きな貢献をした。

 その一方で、ワーランド家が王家の貴族と通じ、自領の経営権を担保に、王都貴族から資金調達をしようとしていた。そして、その内容は明らかに自領を王都貴族に売り払おうというものであった。


 そのため、当主たるエーデ・フォン・ワーランドは、嫡子リードが成人した折に、子爵の座をリードに譲ることとする。


 また、嫡子リードは、【ソロムの魔獣暴走スタンピード】鎮圧において国内でも屈指の貢献をした者であるが、『いにしえからの協定』を破ったワーランド家の嫡子ともいえ、何等かのペナルティが必要である。

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