【火蜥蜴連合】副団長 バレリ(2)
ちなみに、【大迷宮】の底というのは、どうなっているのでしょうか。
秘匿事項……ほどではないのですね、実は。
階層区画で上下階層を移動するというのが、【迷宮】の前提になっていて、その行き止まりが【大迷宮】の場合、100階層であるということです。
ただ、全床が安全区画である77階層から下は、区画の配置が不定期ながら変動し、その階層主も変わっていくことが分かっています。
そのため、一定の過去の記録はあてになりません。
これが、もっとも重要な要因なのです。
探索者は、事前に階層配置や階層主の情報を持ち、攻略法を精査しているからこそ深層階での探索が可能になります。深層階レベルの【魔獣】と初見で相対するのは、探索者の生命を大きく削るような行為なのです。
階層区画の上下転移で、幾度も、深部にいけるのであれば、それでも負担感は軽減できるのですが、特に80階層以降の最深部に転移するためには、膨大な高位魔石が必要になっていきます。
効率性を考えると、50階層より下層への進出というのは探索者にとってあまりメリットはないですし、80階層より下層の場合、そこにあるのは「名誉」だけなのかも知れません。
上位団体は、探索者としての名誉を求める探索者がパーティーを組める組織とも云えます。当然ながら、深層階に挑むのは、団体の中の一部の団員で、多くの団員は50階層までの探索で収益をあげていくのですから。
別の視点でいうと、50階層から80階層の情報については、そこそこ蓄積されています。
また、80階層より浅い階層において、配置の改変といった情報は見当たりません。
ただ、先程いったとおり、50階層から下層についての情報量は格段に情報量が少なくなります。
……探索頻度が全く異なるので、まあ、当たり前の話ではあるのですが。
当然ながら、騎士団が、50階層より下層という、探索者の団体しか興味を持たない場所に対して関心を持つということは、これまでほとんどありませんでした。
これも、【ソロムの魔獣暴走】という、云わば大災害が生じたことによる反応なのだと思います。
やれやれ、引退するのは、もう少し先ですかね……
子どもも大分、大きくなってきているのですけどねえ……
まあ、【火蜥蜴連合】の場合、夫婦で団長、副団長をやっていますので、団員達の力を借りながら、ダルトーム騎士団やリード君に対して、協力できるところは協力して、やっていきたいなと思っています。
また、土日に投稿していきますので、よろしくお願いします。
受験生の皆さん、がんばって!