(講師兼主席研究員)二コル・フォルマッテ(4)
そう、実は、このプロジェクト55。
リードさんが愛してやまない【強化鎧】の活用を前提とした作戦なのです。
【翡翠の大鎧】は概ね修理が完了しました。
リードさんは「後方支援だけでいいからね!」と、やさしく私にいつも語りかけてくれます。
リードさんの中では、【翡翠の大鎧】の主操縦者は、私になっているようです。それはつまり、もう事実上、決定しているということなのですが……
リードさん自身は、ダルトーム家の宝具【強化鎧】の改良版に乗り込むつもりでいます。
一年前と比較して、リードさんの身長は10cm以上伸びました。
そのため、リードさんは体格的に【翡翠の大鎧】の操縦は困難となりましたが、【強化鎧】……その改良版【王の矛】の装着が可能となりました。
「【翡翠の大鎧】って、どうみても、成人男性ではなく、小柄な人が使う強化装甲だよね。
機体の関節可動域もかなり制限されていて、とれる動作も単純だ。
どうして戦士が搭乗るようになっていないのか、ここまで単純な動作しか想定していないのは何故なのか、考えてみたんだ。
一つは、後方支援に特化した機体であること。
もう一つは、王族が、こどもしかいない場合でも王族が先陣に立たなければならなくなった場合に特化した機体であること。」
本当にこの人は、強化装甲が好きなのですね……
「だから、本当は、宝具の中に、王族の成人用の機体もあったのだと思う。ただ、それは【翡翠の大鎧】と比べても使用される頻度は高く、そのため、使用できなくなり、失われてしまうことは十分に仮説として成立すると思う。
ただ、その機体を模倣したものは他領の騎士達にも引き継がれ、その一つが、ダルトームの【強化鎧】なのだと思うのさ。」
夕方に、また、投稿します。




