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(子爵令息)リード・ワーランド

 この放置っぷりときたら、惨めを通り越して見事としか言いようがありません。

 金髪美女のマノン・ベルナール先生が領主家に訪問するのは【一ノ月】から【六ノ月】の半年間。通常、それ以外の期間は、主に家人が、たまには家族が、子弟の勉学を指導することになります。


 なのに、私こと、ワーランド家次男、リード・ワーランドについては、だーれも勉学指導はしてくれません。家人といっても、クラークさん、トテクさん、ノールさん、レイラさん、料理人のナーダさん、の5人との暮らしになります。


 【七ノ月】から【十二ノ月】についての課題はマノン先生が置いておいてくれて、その進捗は家人筆頭のクラークおじいさんが見てくれることになっていました。なので、クラークさんが自分の育ての親の立ち位置に当たるわけですが……。


「はあ、坊ちゃん、わずか一週間で課題を熟されましたか……。」


「でも、面倒くさいから、父上には遅れない程度で課題をこなしているっていってくれると嬉しいなあ。」


「本当は、ものすごい分量の宿題を熟していることをお伝えすべきなんでしょうが……。でも、却って奥様達のやっかみになってもいけませんしねえ……。分かりました。遅れない程度でがんばっておられるとお伝えしましょう。」


 ということで、再びマノン先生がきてくれる【一ノ月】まで、日中、ずっと外出しても問題のない状態になってしまいました。


 僕は、以前、死の淵を彷徨っていたとき、なぜか日本という国の一人の青年としての人生を体験していました。地元の小中学校に通ったあと、工業系の高等専門学校に入り、その後は工場に勤務していました。30歳台でラインの管理を任されるようになり、そろそろ職員寮から引っ越そうかなあと考えていた矢先、おそらく大地震が発生したのか……

 目が覚めると、レイラさんが看病をしてくれていました。

 不思議な体験でした。

 正直なところ、自分の両親は日本に居た両親だと思っています。年齢も自分としては30歳代半ばと認識しています。

 なので、自分の生活に両親や兄弟と接点がないことが、殊更、寂しいとは感じなくなりましたし、5人の家人との共同生活は、ある意味、寮での生活に通じていて、賑やかです。


 そして、現在の僕には莫大な財産があります。

 転移魔法陣の向こう側のセーフティゾーンには、約9,000個の高品質な魔石と、おそらく一流の探索者たちが身に付けていたであろうスロット付きの武具や防具の中で、今でも使用が可能なものを数点保管しています。

 先日、アーチボルトのおっさん、失礼、先生にもらったスロット付きの腰帯に、この高品質な魔石を挿入すると、あら不思議、11歳なのに人外なリード君が完成しちゃったわけです。てへ。

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