侯爵家への訪問(7)
「リード様、アマンダ・ソロム侯爵夫人はどのような方でしたか?」
「見た目もすごい美人だけど……、さすがは一流の商人だね。圧倒されちゃった。」
昨年、隠居を画策したクラークお爺さんでしたが、【ソロムの魔獣暴走】に端を発した様々な事案対応のため、隠居は叶わず、【王都】のダルトーム伯爵邸において、僕の補佐をしてもらっています。
【王都】のダルトーム伯爵邸敷地。その中の離れの来客棟に、僕は生活の場を移しています。
ワーランド家の経営は、当家の家宰となったウェリス先輩を中心とした官僚団にお任せしました。ちなみに、父エーデは蟄居状態となっています。
ちなみに、ウェリスさんはダルトームの家人としての籍は残していますので、云わば派遣状態という感じです。
ワーランド家は、寄親であるダルトーム家に対して、盟約違反を犯そうとしていました。本来であれば、領の取りつぶしまでには至らなくても、相応の罰を受けなければならない事案だったと思います。
しかし、【ソロムの魔獣暴走】が発生し、僕が大量の深層高位魔石を供出したことから、構図的に、ワーランド家の実態的な領主は僕となり、ダルトームの官僚団がワーランド領を管理する状態になっています。
御屋形様としては、ずっと僕にダルトームの仕事を押し付けていきたいと思っている様子なので、今回の【ソロムの魔獣暴走】鎮圧に対する適切な報酬を検討しているようです。
僕は、正直、領地経営をしたくないので、僕の従兄弟あたりを見繕ってもらい、ワーランド領の嫡子の立場をそちらに譲ります。失礼、譲りたいと考えていて、その企図を踏まえた取り扱いを官僚団に『お願い』している状況なのです。
従弟に領地を譲りたいと考えている点などは、ジェシカ嬢と立場は似ていると思っています。
先の事は先で考えてみたいとも思うのですが、【ソロムの魔獣暴走】とその後の柵があるので、ある程度は妥協していかなければならないんでしょうね。
おかしい……
凄く頑張って、しかも、成果を挙げたのに、この状況……
受験生の皆さん。
共通テスト、お疲れさまでした!