(メイド)レイラ・アンデライト(2)
私の名前は、レイラ・アンデライト。騎士爵家の次女です。
そろそろ婚期を迎える15歳です。
リード様が小迷宮に籠るようになって9か月が経過しました。
アーチボルトさんの講義が終了し、リードさんは少なからずショックを受けたようです。
私も御屋形様の仕打ちには納得できませんでしたが、
「しょうがないことだから。レイラもあまり気にしないでね。」
そうリード様に云われると、メイドネットワークを活用した報復措置を行うわけにもいきません。
最近、リード様は防具である腰帯を付けるようになりました。
アーチボルトさんの卒業祝いだそうです。
私の父も騎士ですから分かりますが、魔石の挿入口付きの腰帯は、身体強化や魔力増強のための必須アイテムであり、質の良い魔石を常時挿入しておくことで、戦士としての力を幾倍にも向上させることができます。
リード様のつけている腰帯は2スロットタイプです。しかも、アーチボルトさんの予備のものを加工したということで、長い月日に亘って誤動作を起こしたことのないモデルです。あの髭のおっさんはそこまでの財産家だったのか、と別の意味で感心したものです。私も。
この装備を身に付けるようになって、リード様の行動範囲も随分変わったと思います。
何せ獣のように駆けることができるのですから、小迷宮に籠るだけではなく、街にも出られるようになったのだと思います。
(もっとも、御屋形様達に遭遇する可能性も高くなるので、あまり好まれてないかも……。)
ワーランド領は穀倉地帯です。
ですので、街の規模は数十軒の建物からなり、役場や商店が多少、軒を並べる程度で、その周囲も畑で囲まれています。
ワーランド家の寄り親は、ダルトーム伯爵であり、領都【ダルトーム】は、国内でも有数規模の都市です。ここからだと徒歩で丸一日かかります。
ただ、身体強化により、ずっと走り続けることができるようになったリード様にとっては、日帰りも可能とのこと。貴族様って本当に恐ろしい……。
私たちも半信半疑だったのですが、先日、お土産といって、領都で購入された髪飾りをいただいてびっくりしました。小さな輝石の入った髪飾り、今でも大事に身につけさせてもらっています。
なお、私だけならなお良かったのですが、こちらの家人5名みんなにお土産はありました。
まあ、優しいからいいのですけどね。