小剣(2)
僕は、ワーランド家の嫡子ということになります。
一方で、外向きにはB級探索者~史上最年少というオマケ付きですが~であることを評価され、ダルトーム騎士団の従士とダルトーム領の文官としての職についています。
ああ、内部的には、【魔獣暴走】鎮圧を任された時点で、騎士爵に叙されており、僕の部下として先生(二コラ・フォルマッテ)が派遣された状態で、しかも、それは未だ解除されていないのですが。
先生、【王立学園】で仕事しづらいようです。面白いのでそのままにしています。
つまり、表立てていっていませんが、実はダルトーム騎士団の現役騎士である僕は、【王立学園】にも、こっそり魔装を持ち込んでいる状態なのです。
でも、普通、学校に武器を持ち込みますか?持ち込みませんよねえ、やっぱり。
ということで、持ち込みは2点に限定しています。
まず、知っている人は知っている懐刀……魔石の挿入口を持つ小剣……を常備しています。ただ、鞘の方は典礼的なものにして、貴族嫡子として違和感のないような装いとしています。つまり、見た目は模造品で、中身は深層魔装という一品。
もう一点は、首飾り(ネックレス)です。こちらに魔石を付け、身体強化を施します。
本来であれば、僕は、師匠である【オールラウンダー】アーチボルトが僕にくれた腰帯を用います。こちらは魔石の挿入口が2口あり、これに無理やり高位魔石を放り込み、ブイブイ云わすのが僕の探索方針なのですが、流石に、日常生活では規格外過ぎます。
この2点については、一応ながら、【王立学園】にも内密の許可を得て、装備しています。
とにかく、【ソロムの魔獣暴走】後、復興作業が進むにつれ、貴族間の駆け引きが激化し、はっきりいってしまえば、裏社会的な動きが起きて治安が不安定になっているわけで。
探索用の僕の小剣が、外目でみて模造品扱いになっているのは、ちょっと可哀そうな感じもします。
でも、やっぱり、使い慣れたモノを手元に置いておきたいですよね。