小剣(1)
ちょっと小話なのです。
僕は、とりあえずA級の探索者に昇格しました。
何故か!それは、高位魔石を調達するという課題を極めて優秀な好成績で達成したからです。そして、それは【ソロムの魔獣暴走】の鎮圧に直結しました。
良い事ですね!ハイ!
……と、いう訳にはなりません。
それは僕自身も思っています。あの時は、なにより、自分を含めて、どうやって【魔獣暴走】を喰いとめるかで精一杯だったんです。
その後始末について、僕自身を含めてテキトーにやっていけばいいんですが~実際のところ、結構、適当なんですが~信賞必罰をきちんとするのも社会の役割の一つです。
ただ、高位魔石……しかも、大迷宮90階層級の高位魔石の価値は、本当に凄かった。
国や領の宝具級の装備と共に運用させることで、その価値を十二分に発揮し、【魔獣暴走】の鎮圧に相応に寄与しました。それをどう価値づけるか……もともと価値を設定できる訳もなく、それは、【ソロム】の持つ莫大な資産とほぼ等価の価値であるという値付けがされました。
繰り返しますが、どうとでもいえるので、テキトーにそうなっちゃった訳です。
僕の立場は微妙です。あんまりバレてしまうと、マジで、どこぞの高位貴族に暗殺されかねません。
一方で、ワーランド家。
義母の実家~王家の法衣貴族~の介入により、家の乗っ取りが計画されていた以上、兄と弟への継承権は取り上げざるを得ません。ということは、僕はワーランド家の嫡子となるわけです。
僕の母が下級貴族の縁者で、僕自身、その血筋としては領主として物足りないとしても、それは不適当かも知れませんが、だめなわけではない。
でも、僕自身が領持ちはイヤなわけです。
僕の人生設計は、探索者稼業から商業への出資でしたからね。
その辺りは先輩方と相談中の状況です。
ということで、妥協点として、対外的には、実際の供出量の10分の1の供出(しかし、深層の魔石というところは黙っておいて)と、御家騒動の終結により、僕はダルトーム伯爵に認められ、ワーランド家嫡子となったというところは、外部に打ち出さざるを得なくなりました。
皆さん、仕事、がんばっていきましょう!