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【オールラウンダー】アーチボルト・グレイン(2)

「悪いな、しばらく面倒みてくれていたのに。」


 俺は肩をすくめた。

 どうにも、ワーランド家の経済状況はあまり良くないらしい。

 ウェデルとパールの養育費用は残しておいて、リードの養育費用は削っていこうという事になったらしい。


「もう一人の家庭教師の方もやめさせるのか。」


「さすがに、12歳になって学園に入るのに、うちの恥を晒すようになってはいけないからね。そもそも、学園に通わさせなければいいのにと妻は言うのだが、そこまで冷たい仕打ちはしたくはない……」


 エーデ卿は、人は良いが本妻には頭が上がらない。おそらくウェデルとパールに何事かが起きない限り、本妻の感情を踏まえると、リードは領主家の仕事を与えられない。独立して生活していくためには、剣や魔法の技量が重要になるからこそ、一応、エーデの友人である俺が家庭教師にあてがわれた筈だった。


 まあ、リードは、貴族としては一般的な魔力を持っており、魔力操作はすでに熟練者のレベルである。さすがに魔術師や本国の騎士~小領の騎士ではなく~といった位の才能は持っていないにしても、これから身体ができてくれば、【軍】であっても【協会】であっても仕事に困ることはないであろうと思う。


(あそこまで、魔力操作を熟す程、ずっと迷宮に籠り気味であるともいえるが)


 本当はエーデ卿に、小迷宮の転移魔法陣について報告しようと思っていた。

 おそらく何処かの大迷宮の外れルートと繋がる転移魔法陣であり、場合によっては、財産的な価値も大きくなる代物だ。リードが発見したものとはいえ、本来はワーランド家の財産である。


 ただ、リードが魔術行使の練習をただただ繰り返す中で発見した魔法陣であり、普通に、年に1回の領内の騎士団の「お掃除」では、間違いなく見つかることのない魔法陣であった。

 リードが成人し、迷宮に対する一定の攻略ができるようになれば、あの転移魔法陣の活用方法を自分でみつけ、一定の財を得られるようになれば、それこそリードの為になるだろう。


 ちなみに、自分にはあまり興味はない。

 迷宮への興味を失ったからこそ探索者を引退したのだ。しっかり財産を稼いだからこそ、のんびりと生活をしているのだ。おそらく数少ない探索者としての成功を収めた一人が、【オールラウンダー】アーチボルトなのだから。


 小迷宮の新たな価値は、リードのものである。そう俺は決めたのだった。

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