【災厄】多頭大蛇(6)
「「「「「え、こいつ、バックできるのかよ……」」」」」
多頭大蛇は、蛇とはいえ、4つの脚部を持つ魔獣。
そのため、実際、後退ることができるらしい。
できるのだから、しょうがないのだが……
「リード君、引き続き、高速移動しながら、多頭大蛇を攻撃してほしい。騎士の方が交替で継続して魔術発動できるようローテーションを整理する。できるか?」
「やってみます。【翡翠の大鎧】が絡められたらどうしますか。」
「慎重にいってほしい。【翡翠の大鎧】が絡められたら、魔術での攻撃を止めるので、強制離脱してくれ。みんなも分かったな。」
「「「「「了解。」」」」」
◇
幾度か、攻撃を仕掛け、離脱する、それを繰り返しました。
とにかく、殴りつけているうちは、こちらの敵愾心が向くのですが、少し距離を取ると、地上へ向かおうとします。
多頭大蛇は、おそらく他の魔獣群と異なり、絶対的な防御力と生命力を持つため、多少の攻撃は「気にしない」のでしょう。ある意味、まだ、狂暴化していないとも云えます。
地上へ向けた移動が優先されること。
格闘戦を行っている間は、敵愾心が地上へ向けた移動より優先されること。
そのため、格闘戦を仕掛けるうちは、地上への移動を妨げることができる。
格闘戦で不利になっても、一定の距離を取れば、多頭大蛇からの追撃はない。
次に【翡翠の大鎧】の整備と、僕の休息確保についてです。
多頭大蛇の行動様式に一定の法則性が見えたことから、【強化鎧】の長槍による遅滞戦術を組み込むことになりました。
ただ、長槍を使用しても、【強化鎧】の防御力では、被害を受けるリスクは相当高く、少しずつ【強化鎧】の損傷が増えている状況です。