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ソロム攻防戦(10)

 概ね半日。

 【東雲しののめの霧玉】と粉塵爆発による回廊内の空気汚染が除去され、再び、下層階から赤褐牛鬼ミノタウルス達が20階層に犇めくまでの時間です。

 その間に騎士は交代し、【探索者協会】から編制された一流の探索者達が、魔石回収と罠の設置を行うようにしました。


 僕は、粉塵爆破後、【南の大迷宮】に戻り、その都度、休憩。体調の維持回復に努めています。

 【東雲の霧玉】と【翡翠の大鎧】は徹底した整備メンテナンスが行われます。


 基本的には粉塵爆発で、魔獣群の多数は命を失い、その亡骸は【迷宮】に取り込まれます。

 セーフティエリア付近は、一部の赤褐牛鬼ミノタウルスが生存している場合が多く、戦闘になります。ただ、騎士達の大気制御エアコントロールの取り扱いが充実し、空気汚染の影響が段々小さくなり、その分、粉塵爆発後の戦闘もスムーズに行えるようになってきました。


 すると、僕の仕事は、【東雲の霧玉】に魔石をねじ込み起動させるだけ、になってきます。

 風の魔術も、もう周りの騎士が行使し、僕自身はひたすら霧を生み出すことに専念します。

 油断はしません。

 物事というのは、順調に進み始めたときが、やはり怖いのです。


 【翡翠の大鎧】は身長制限もあることから、窮屈な装備ではあります。

 ただ、空調管理は完璧で、何というのでしょうか、たとえるなら工場内での清浄室クリーンルームにおいて、クリーンスーツを纏った状態での作業ということでしょうか。


 騎士の皆さんは、そもそも鎧の着用状態に慣れていないと、この仕事にはつけません。

 僕は、……僕もある意味、「機械のように、機械を扱う」ことに慣れている人間です。集中力を切らさず、ミスをせず、歩留まりをきちんと維持することが得意な人間です。


 だからこそ、おそらく上の人達はかなり悩んでいると思います。

 そう、今回の作戦ミッション、【翡翠の大鎧】の操縦者オペレーターが、僕しかいないということです。


 姫様にきてもらうとか、王立学園の生徒に操縦させてみるとか、それは冗談として~もしかしたら、冗談ではなく、検討中かも知れませんが~、文官や研究職の中で高い魔力を持つ女性貴族の運用も検討された様子です。


 ただ、ことのほか、僕が「機械のように、機械を扱う」ことで、熟練の騎士同等に継続して作業を熟しているところを見て、現在、うまく手順が回っていることを考えると、「選手交代」に踏み切れないという感じだと思います。

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