プロローグ
スマホでもサクサク読めるよう、1話あたり文字数は調整しています。
もともと、全体で十万字強程度のライトな内容でして、その時点で一旦、話自体はまとまっています。
その後、実験的に話を書き進めていますが、そちらの方が分量的に大きくなっている状況です。
よろしければ、リード君の物語にお付き合いくださいませ。
※第9回キネティックノベル大賞の一次選考を通過しました!(2023.11.12)
幾度かの群れを追い払ったが、徐々に群体の強さが高くなっていた。もともとハイペースだったものがさらに数が増えてきており、ここまでくると想定外ともいえる。
引き際を誤ったか……
唇をぎりりと噛み締めた。決して難易度の高い階層とはいえず、その攻略の判断を見誤ったことを親族たちがどう評価するか。そうしたプレッシャーも影響があったことは否めない。随行の2人も冷静ではいられなかっただろう。自分のミスだ。
犬鬼の声が石畳の回廊に響く。
「エミリ様、前方は私が対処します。後ろからの敵の対応をお願いします。」
これまで一言も口を出さなかった騎士ウォードが呪文を唱えた。爆発系の魔術。進行方向で炎が爆ぜたが、犬鬼の声は止まない。付き添いの騎士=試験官である騎士ウォードが、何の警告もなく戦闘に参加したということは、「私たちの身に危険が迫っている」つまり非常事態であるということだ。随行の2人を叱咤し、私たちも直ちに陣形を整えた。
これまでよりも激しく灰白犬鬼が群れて襲い掛かってくる。
犬鬼たちは相当興奮しているのか、攻撃方法は一直線にこちらに向かってくるだけ。しかし犬鬼の血糊で、剣の切れ味も相当鈍ってきた。それでも、相当の数を殲滅し、そろそろ終局が見えてきたところで、
「エミリ様、危ない……!」
騎士ウォードの声が響き渡る。やや大型の、怪我をして動かなくなった灰白犬鬼が、突如、私に向かって突進し噛み付いてきた。
「……!」
頭の中が真っ白になり、身体が固まって動かなくなった。一撃を覚悟するしかない。
しかし、鈍い衝突音がしただけで、いつまでたっても私が攻撃を受けることはなかった。
やや大型の灰白犬鬼は、横から飛び込んできた少年に突き飛ばされていた。少年の手には剣。その剣に刺し貫かれた犬鬼は、一撃で絶命していた。残りの犬鬼を騎士ウォードが切り飛ばしていく。
「エミリ様、まずはボス部屋の前のセーフティゾーンで態勢を整えましょう。君も一緒に付いてきてくれますか。」
騎士ウォードが指示を出す。
そして、私を助けてくれたであろう少年にも声をかけた。
とにかく今日のこの階層の魔獣の動きはかなりおかしい。何とか態勢を立て直したい。
私も随行の2人も疲れ切った身体に鞭をうち、とにかくこの場を離れるため、騎士ウォードに従い、歩き始めた。
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