想像妊娠から本当に子供が産まれる!
20XX年。
どうしても、子供が欲しいと想う夫婦の間に子供がデキた。
二人の間には、長い間子供ができなかった。
結婚して10年! 不妊治療も始めていた。
それでも、子供はできない。
旦那が種無し【無精子症】だったからだ。
・・・通りで、頑張っても子供ができない訳だと。
それでも、奥さんは? 諦めなかった。
不妊治療は、旦那も一緒に付き添って頑張ったが。
治療の結果! 奥さんが子供を授かる事はなかった。
既に、奥さんも47歳になっておりラストチャンスも
虚しく終わる。
それでも、どうしても子供が欲しい奥さんは“想像妊娠”
を間違って妊娠したと思うようになる。
旦那は? 妻が子供が欲しいという願望がそこまで彼女を
追い込んだのかと最初は、憐れんだと言っていた。
そのうち、女性が妊娠したような症状が表れる。
妊娠線やお腹も少しポッコリとなっていた。
悪阻や吐き気、妊娠した症状が次々と表れる。
『・・・お、お前! ほ、ホントに妊娠したのか?』
『えぇ! 私達ふたりの赤ちゃんがデキたのよ!』
『病院で診てもらう?』
『まだ、ダメよ! 安定期に入ってないんだから!』
『じゃあ、落ち着いたら! 一緒に病院に行こうな!』
『分かったわ!』
僕の妻は? 嬉しそうに僕にそう言った。
妻が、嘘をついているように僕には見えない。
だからと言って、本当に“妊娠”しているとも思えない!
医師からも、【もう、諦めるしかありません】と言われて
しまったからだ。
そう言われた、妻は? 張りつめていた糸が切れてしまったのか?
家事も、何も出来ないぐらいに落ち込んでしまった。
精神的に、おかしな症状が出始める。
『あなた! お腹の中にもう直ぐ、私達の赤ちゃんが授かるって!
夢で神様に言われたの! もう直ぐ、私達の元へ赤ちゃんが。』
『・・・おい! しっかりしろよ! もう、赤ちゃんの事は諦めよう
先生も、ああ言われた事だし! これからは、二人だけの人生を、』
『何を言っているのよ! 私のお腹には赤ちゃんが授かるのよ。』
『・・・冴美、』
僕も、不妊治療で随分と僕の親や彼女の義理のお母さんからも
追い詰められてきた。
僕のせいで! 妻に子供がデキないと、、、。
僕が、【無精子症】でなければ、今頃普通に子供がデキていた思う。
妻にも僕から【離婚届】を何度か渡した事もあるほどだ。
『・・・すまない、僕のせいで! 子供が産まれないなんて!』
『・・・・・・』
『・・・これ、』
僕は、妻に離婚届を見せる。
『これに、名前を書いて出しておいてくれないか?』
『私は、あなたと離婚しないわ! あなたとの間にできる子供が
欲しいの! 私は、あなたを愛してるから!』
『冴美、』
『大丈夫! きっと、上手くいくわ!』
『あぁ!』
・・・今は、あの時。
妻と別れていればと、後悔している。
妻が、おかしくなったのは? 全て僕のせいだ!
妻に、“想像妊娠”をさせてしまった僕のせい。
もう、僕達の間に、子供はデキない!
一生、僕と妻との間で子供がデキない人生を歩む事を覚悟した。
妻と僕だけのふたりだけの生活。
僕が妻を支えて行くと誓ったのに。
妻のお腹は? 日に日に大きくなっていく。
想像妊娠でも、お腹は大きくなっていくのかな?
医者に、妻のお腹を診てもらうと?
やはり、妻のお腹の中に赤ちゃんは居ない。
分かってはいた事だけど? 僕は、妻に“嘘”をつく。
『先生が、妊娠5ヶ月だと言っていたよ。良かったね!』
『・・・で、デキたの? 私達の赤ちゃん!』
『あぁ! スクスク大きくなってるそうだよ。』
『嬉しい! 私の赤ちゃん!』
『・・・・・・』
嬉しそうにはしゃいでいる妻を見ていると、、、?
僕は、本当の事を言う事が出来なかった。
妻の幸せだけを僕は考えているから。
・・・しかし!?
10か月後、本当に子供が産まれた!
突然!妻のお腹に滑り込むように入ってきた赤ちゃん。
お腹だけは膨らんでいくのを見ていた僕は? 妻を悲しませない
ようにどう? いい訳をすればいいか? 考えていたのに。
それが! “10か月目に” いきなり赤ちゃんの姿を確認する。
『旦那さん! びっくりしないで聞いてください! 赤ちゃんが奥さんの
お腹の中にいます。 私達もこういう事は初めてで、何が何だか? 急に
奥様のお腹の中に赤ちゃんの存在を確認しました。』
『えぇ!? でも、先生! 妻は、それまでお腹の中に子供は、』
『・・・あぁ、はい! しかも!? もうじき産まれますよ。』
『・・・えぇ!? それ本当ですか?』
『はい!』
【ウギャーーーウギャーーーウギャーーー】
大きな赤ちゃんの泣き声が病院中に響き渡った。
『女の子ですよ。』
『ありがとうございます。』
『・・・・・・』
・・・こんな事って?
本当にある事なのか? 僕は赤ちゃんを目の前で見ても。
僕達の子供だとまだ、実感が湧かなかった。
妻は、嬉しそうに我が子を見て、喜んでいた。
僕は、その姿を見て微笑んだ。
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