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令嬢レベル3-5

本日は完結まで一気に更新します。次の更新は10:00です。


私のためと言い、私の意志を無視するドイル様。婚約も、勉強も。

ヴィが居るからはなっから相手にする気は無かったけれど、彼自身を見た上でも彼との結婚は有り得ないと思う。


ドイル様が求めているのは彼の理想の私であって、そこに本当の私は居ない。


「ドイルお義兄様、私学ぶことが大好きなのですが」


「気を使わなくていい、リルチェル。君のことは俺が守る」


「いえ、結構です」


「遠慮するな」


「いえ、本当に結構です」


「父やビシューのことは気にするな、俺が何とかするから」


「いえ、結構です。私は勉強がしたいので」


「……君はビシューに脅されているのか?」


「いえ、私の大好きなビシュー様はそんなことをなさりません」


「君はビシューをろくに知らないだろう。騙されているんだ」


話が通じないいいいいい!

何この人、恐怖しか感じない。

さすがに手に負えずヴィの服を握ると、彼がため息を吐いた。


「知ってるに決まってるでしょう。この二年間僕達はずっと一緒に居たんですから。兄上はちゃんとリルの言葉を聞いて上げてください」


「だが!彼女はまだ10歳と聞いた!右も左も分からない子供だろう!」


「若くてもリルは立派な令嬢ですよ。もう良いです、兄上と話をしていても時間の無駄ですし僕達には授業があるので」


「ビシュー!待て!」


ヴィも会話を諦めて、ドイル様を避けるように歩き出す。彼はそんな私たちに手を伸ばすがーーーー執事がさっと間に入った。


「なんだカレル」


「ドイル坊っちゃま、奥様がお呼びです」


「ちっ…」


歩きながら少しだけ振り返ると、執事のカレルさんは私を見て一瞬笑ってくれた。頭を軽く下げると私はそのままヴィと老先生の元へ急いだ。






「ドイルは一週間後、国境に住む従兄弟の所へ勉強に送ることにした」


「だからあと一週間だけ我慢してちょうだいリルチェル……」


楽しい授業が終わると、侯爵夫妻に呼び出された。

夫妻はわかりやすく疲弊しきっていた。恐らくドイル様に話が通じなかったのだろう。私を身内と判断し緩んだ姿を見せてくれるのは嬉しいが、御両親をここまで追い込むドイル様が恐ろしくなった。


「ご心労お察しします」


「あいつは一体ロシャンで何を学んできたのやら。迷惑をかけてすまないなリルチェル」


「貴女も頑張ってくれたとカレルから聞いたわ。気まずいでしょうに説得を試みてくれてありがとう」


「兄上は何故ああも言葉が通じないのですか?」


「……あいつはどうも正義に酔っているようだ」


「……正義…」


「ロシャン学園でも虐められていた平民の娘を救ったそうだ。どうも今のあいつは望まぬ婚約を強いられ、過度の勉強を強いられるリルチェルを救えるのは自分だけだと思い正義に酔っているようだ」


悲劇の弱者を救い出す正義の快感に酔っているのか。いや、人助けはいい事だけども……うん。今のドイル様は頭がおかしい人にしか見えない。口には出せないけど。


「あの子は私やビシューをなんだと思っているのかしら!そんな鬼畜の所業を私たちがするはずないのに!」


「エリュー様、落ち着いてください」


「……ありがとうリルチェル。本当にうちの愚息が申し訳ないわ」


とりあえず一週間我慢すればなんとかなるなら頑張ろう。そう思って怒りのあまり扇子を折ったエリュー夫人を宥めることにした。



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