令嬢レベル1-3
あげるとなればどれをあげていこう。
そしてどうすれば上がるのだろうか。
知識はとりあえず文字を覚えたい。
教養は基本のマナーと……お小遣い稼ぎができるという刺繍辺りにしようかなあ。
レベル1の一覧を眺めながらそんなことを考えていると、両親が部屋に入ってくるのが鏡越しに見えた。
鏡に映った両親にはステータスウィンドウは見えなかった。
「リルチェル!心配したわ、体調はもう大丈夫?」
「だいじょうぶですかあさま」
駆け寄ってきた母様に歩み寄りながら声を出すと、その言葉は舌っ足らずだった。え、この喋り方は恥ずかしい…。
そんな動揺をする私を知ってか知らずか、
父様が私を抱き上げて母様は頭を撫でてくれた。
先程映像で見た通り両親はとても美しい。
両親は美容レベルいくつなんだろう。ニコニコと笑いながら抱きつくとポーンと頭の中で声がした。
『愛想レベル1を習得しました』
愛想って…。いやまあ、そんな気分でもないけど笑ってたけれども。
簡単にスキルを取れて喜んでいいのか、悪いのか。複雑な気分だ。
「リルチェル、朝ごはんを一緒に食べるかい?」
「はいとおさま」
とりあえず愛想笑いは維持したまま両親と自室を出る。
朝ごはんはパンケーキだった。
アリーが介助について、切り分けてくれた。
それを母様や父様のような持ち方でフォークを持って、刺して、食べる。
口は小さく開けて、物が口に入ってる時は閉じて咀嚼する。
テーブルマナーについての情報は頭に出てこなかった。という事はテーブルマナーの知識は無いんだろう。
とりあえず両親の真似をして食べていると『テーブルマナーレベル1を取得しました』とすぐにまた音声が聞こえた。
簡単に取れすぎじゃないか。どうやらレベル1は簡単に取得できるんだなあと思いつつ、マナーを真似したまま食べる。
食事始めにレベル1を取得して。
朝食の終わりにはテーブルマナーレベル2を取得した。
レベルを上げる方法は実践のようだ。経験値積め、ということだろう。
食後はメイドで乳母のアリーに頼んで、絵本を持って庭に出る。
「アリー、えほんわたしがよむの。きいてくれる?」
「まあ、本当ですか?お嬢様が読んでくださるなんて楽しみですね」
本を読めば、文字の勉強になり。
声を出すことにより滑舌の特訓になることになるだろうと踏んだのだが。
シートの上に座ったアリーの膝の上に座り絵本を開く。
何十回もアリーに読んでもらった絵本なのに。
初日の私は絵本の文字を半分も読むことは出来なかった。




