令嬢レベル2-9
世間様GWは昨日までだと……!
だがお話はもうちょい続きます( ˙꒳˙ )キリッ
GWはみ出ちゃってごめんちゃい。
「…リルチェル、これコースター子息からよ」
初めてのパーティの翌日。コースター家から来た二通の手紙に両親が頭を抱えて、うち一通を母様は私に渡した。
手紙というか、箱のそれ。両親に確認をとって二人の前で開けると中からは水色の宝石がついた髪飾りが出てきた。悔しいけれど、ちょっと上品な髪飾りは私のお気に入りのドレスによく似合いそうで。
『先日は楽しい時間をありがとう。でも本当にリルチェルには申し訳ないことをしました。あのドレスに似合いそうなロシャンの民族模様の入った髪飾りを見かけたので、お詫びとして贈ります。
あと御両親の許可がおりたら今度うちに来てくれないかな?実はスワベル語の勉強で少しつまづいていて、リルチェルにも教えて欲しいんだ。
親愛なるリルチェルへ
ビシュー・コースター』
そんな手紙を読めば、だいぶ困った。
あの時は明確な返事を断ったけれど、お家まで行ってしまえばなし崩し的にどうかなってしまう気がする。
髪飾りは可愛くて嬉しいけれど、どうしようと困っていると父様が嫌そうに、すっごい嫌そうに私の前にしゃがんで視線を合わせた。
「リルチェル、正直に教えて欲しい。リルチェルはコースター子息のことをどう思っているかい?」
あ、これ婚約の打診が来ましたね。
それくらい分からない訳でもないけれど。
ビシューがどうなのかは、わからなかった。
「好きか嫌いかで言えば好意は抱いています。けれど私、まだビシュー様のことも他の方のこともそれほど知らないので…」
「そうか。そうだよなあ、うん、そうか」
「ちなみにリルチェル、コースター夫人が息子と一緒にお勉強をしませんか?っていう誘いも来ているのだけれどどうかしら。コースター家には大きな図書館もあるし、子息たちのために優秀な教師も雇っているそうよ。……あなた、お勉強が好きでしょう?」
「私にはチェンダー先生が居ますわ」
「それがチェンダー先生にお孫さんが出来たので、先生は来年から領地へ帰るそうよ」
「本当ですか!?」
「…ええ。チェンダー夫人の代わりも夫人に頼まれた、と書いてあるから次の授業の時にお話してもらえるんじゃないかしら」
なんだろう。完全に逃げ場を封じられた気がする。
というかチェンダー先生の事も何か裏がありそうな気がする。
結局婚約に関しては父様がまだ世間を知らない子供だから!と抗って私はビシュー様の婚約者候補となった。他に候補者は居ないそうだけど。
「ごめんなさいねリルチェル。貴女が立派なレディになるまで面倒を見てあげたかったのだけれど…」
「…離れても、チェンダー先生は私の大事な先生です」
けれどチェンダー先生は本当にお孫さんが産まれていた。しかも双子だそうだ。乳母も雇うそうだけどとにかく手が足りないそうなので教育者として、祖母として領地に帰ってしまうそうだ。
まだもう少しこちらには居るそうで、あと数回は授業があるけれど私はコースター家にお勉強に通うことが決まった。




