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令嬢レベル2-5


少年が連れてきたメイドさんは、本当に見事にシミを抜いてくれた。

少しまだ濡れているけれど紅茶のかけられたそこは元通りの刺繍とレースの色合いだ。


動揺する元が無くなれば、だいぶ落ち着いて来て。

自分の大失態に穴があったら入りたい感覚に陥る。



「大変申し訳ありません。ご迷惑をお掛けしまして…」


「いや、僕もごめん。もっと良い連れ出し方があったのに考えつかなくて」


二人で謝りあって、ふと思う。彼はなぜ私を連れ出そうとしたのか。少年は姿勢も顔も良く正しく王子様、と言った感じだ。初対面なのは確実で今日話したことも無いはずだ。


「えっと…君はエイラーの婚約者、とかじゃないよね?」


「大変失礼致しました。リルチェル・フランソワと申します。エイラー様の婚約者ではありませんわ」


「なら良かった。嫌がってるから連れ出したんだけど、迷惑じゃなさそうだね」


嫌がってるから。そう言われて内心首を傾げる。きっちり演技していたつもりだったのだけれど。


「私、分かりやすかったですか?」


嫌がっていたのがバレてしまうなら母様にご迷惑がかかるかも。動揺すると、何故か私以上に少年が動揺した。


「大丈夫!気づいた人はいないと思うから、泣かないでね!あ、僕はビシュー・コースター。コースター家の三男で10歳だよ。フランソワ嬢は何歳かな?」


「八歳です…」


コースター家。といえば、侯爵家。王子様っぽいし所作も綺麗だし、高位貴族っぽいと思っていたけれど、その通りだった。


侯爵家の彼に、助けられて、あまつさえ泣きじゃくるさまを見せた。

失態につぐ失態。気を失ってなかったことにしたくなる。


「僕は人の内心を読むのがすごく得意なんだ。君、戻ったらまたエイラーに捕まるだろうからここで僕と一緒にお喋りでもしないかい?」


「…お心遣い感謝致します。ですが私が居ないと母が心配をしますし」


「ああ、ならメイドに頼むよ。アリサ、フランソワ夫人とエイラー夫人に休憩室にいるって伝えて貰えるかな?あとお茶と菓子の準備を頼む」


逃げられないいいいい!


「かしこまりました」


扉を開けて出ていくメイドさん。うん気遣いはバッチリなんだけどね。コースター様はニコニコ笑ってテーブルと椅子を窓の近くの外が見えやすい位置に移動させてこっちこっち手招きをする。


エイラー様よりは断然マシだけれど。

侯爵家のお坊ちゃまの相手なんて、私には重すぎる。


内心震えながら、彼の向かいに座った。

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