2話「再会」
ヤバい、マジでヤバいって!
なんでベッドから出たのにソファーで二度寝しちまったんだよ!
リビングにある掛け時計を見ると長針が9をちょうど過ぎた辺りだ。大慌てでスクールバッグに母さんが作ってくれた弁当を突っ込み、チャックを閉める。
「待って、1年後の記憶はあるが昨日の記憶がない!他に持っていくものとか無くて平気か?わかんないわかんない!」
そう頭をフル回転させ、思い出せ思い出せ!と、念じていたら、思い出した!
前は二度寝なんてしてなかった!
それを思い出したら、どんどん俺が死ぬ前に過ごした2022年5月6日の事を思い出していく。
・・・・確かその時はソファーには1度も座らずに登校まで過ごしてたよな?
それはもう少しの行動で未来を変えれるって事に直結する。それもただ1つ、ソファーに座るか座らないというほんの少しだけで変えれる。
考え込んでいると家のチャイムが鳴り響く。
やべ、もうそんな時間か・・・・急いでスクールバッグを手に取り、俺は玄関に向かうのだった。
玄関で一度深呼吸をしてから扉を開ける。
佳奈に俺という存在を意識させるためにカッコつけるんだぞ、俺!
玄関先には黒髪が腰まで伸びて顔は整っているThe清楚系、それに優しい性格で学校では高嶺の花と呼ばれている俺の幼なじみ東条佳奈がいる。1年前までは何気ない日常、これが永遠に続くと思っていた。でも、違う。来年には終わってしまう。
なんだろうか?日数的には特に経っていないはずなのに懐かしい。数年ぶりぐらいには思えてしまう。
あれ?佳奈、なんだか涙ぐんでない?
「佳奈、どうかしたのか?」
「いや、ただあくびしただけだけど」
制服の裾で目を擦る佳奈。
「さ、学校行こ!遅刻しちゃうよ!」
目を擦り終えた佳奈は笑顔でそう言い、学校の方角へと歩いていく。それに追いつくように俺は小走りで佳奈の元までほを進めるのだった。
懐かしい!いや、マジで!
そうか、1年前だし、進級までになるのか・・・・・
俺はまだ2年生って事か・・・
2年3組というプレートの下にある扉を開いて俺たちは中に入る。あ、俺と佳奈は同じクラスだ、3年でもな。
自分の席に座り、佳奈とだべっているとよくつるんでいる菅野皐月と齋藤弥生がいつも通り話しかけてくる。
「よよ、お久〜。ゴールデンウィーク楽しかったか?」
「皐月くんおはよ。ゴールデンウィーク楽しかったよ!」
当たり前のように返答する佳奈。俺はと言うと・・・・記憶ねぇよ!遊んで金なくなったのは覚えているがそれ以外はさっぱりだ。
「まぁ、俺も楽しかったぞ」
「嘘つけ、お前はほとんどが季節外れのノロウイルスで寝込んでたじゃねぇか!」
あ、そうだった!俺のバカ!使えない脳め!でも、これだ。このいつも通り感、俺本当に過去に戻ってきたんだな。