1話 おわりとはじまり
前回も含めた登場人物です
朝雲 玄真
主人公です。高校一年生。冷静を装ってはいますが以外と熱いです。お願いは比較的断れないタイプ。父が2年前に死んだ為、今は姉と二人暮らし。後々わかることが多すぎて今はあんまし説明がないです。
朝雲 聖
玄真の姉。高校三年生。誰にでも優しい生徒会長で文武両道です。
海崎 壱砂
玄真の小学校からの親友。気さくで明るいやつです。
「あー…こりゃアウトだな…」
ぼやきが漏れ、ため息もついでに出た。ここに来るまで全ての信号に捕まっている。このままいけば遅刻だろう。だからといって走ろうとも思わないのだが。
「そこの高校生!もしよかったらうちのタクシー使ってかない?」
『いいところに。じゃあお願いするよ、海崎ドライバー』
「おーけー!飛ばすからしっかり掴まってろよーっ!」
この颯爽と現れた男は海崎 壱砂。俺とは小学校の頃からの親友で大切な存在だ。俺が困るといつもこうやって現れて、笑って手を貸してくれる。
「いつもお前と会う道を通っても姿が見えなかったから戻ってきて正解だぜ。お前が困ってるときは必ず俺が助けてやんよ!」
『ありがたいけど、その口癖やめろよな。ダセェって何回言ったらわかんだよ』
「えー!かっこいーじゃんこれー!!」
なんていつものふざけあいをしながら学校へ向かう。このしょうもないやりとりが俺の学校の楽しみなのかもしれない。
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鐘の音と同時に俺と壱砂は学校に着いた。誰もいないはずの校庭に1人。何やら不穏な雰囲気を持つ男が立っている。
「なんだあいつ?あからさまに不審者ってムードだしてんな。うちの女子拐いにきたんか?」
『よくわかんねーけど俺らは関わらないほうがいい。珍しく赤い服着て座ってる高橋先生にでも対処してもらおう』
言葉に出したことで俺は不可解なことに気づいた。なんでいつも白ジャージの高橋先生が紅の服着て座ってるんだ?明らかにおかしい。その変な違和感は先生に近づくにつれてだんだんと恐怖と絶望に変わっていく。
『おい壱砂、走って逃げんぞ。逃げないとまずいことになるかも…!』
「んぁ?何言ってんだお前。逃げるってお前学校嫌いすぎんだr…って!なんだこれ!先生やべぇ!」
そこにあるのは高橋先生の死骸。紅の服は元々白ジャージだろう。血で染まっている。そして座っているのではない。急に体から力が抜けたかのように門にずり落ち寄っかかっているだけだ。
「玄真の言った通りだわ…。こりゃ逃げねーとまずいかも…!」
そう言って壱砂が指を刺した先にはさっきまで遠くの校庭に立ってたはずの不穏な男がなんとも言えない歪んだにやけ顔で走り迫っていた。その距離約80メートル。
『おい!走れ壱砂!!とりあえずあいつから離れんぞ!!』
いつもと変わらない毎日が終わり、非日常の現実が俺たちを追う。