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体力測定3(桃花)

作者: 狼花

  さてさて今日も母の体力測定を気付かれずにおこなっていこう。

えーと握力と反復横跳びは前回やったから

今日は立ち幅跳びと長座体前屈かな

・・・跳躍力と柔軟性か・・・


 とりあえず思い切り飛ばないことには測定ができないので

お母さんに全力でジャンプしてもらう方法を考えよう。

人を飛び上がらせるには

 ・熱湯をかける

 ・落ち着いてる時にゴキブリのおもちゃで強襲する

・・・どっちも怒られそうだな。(特に熱湯は子供が遊びでやっちゃダメなやーつ)・・・

家でテニスボール投げて怒られたのは最近のこと

今のタイミングは少し気まずい

お母さんの怒りのボルテージも上がりやすくなっていることだし

もう少し穏便な方法はないものか

考えること1時間全然良い案が思いつかず

・・・そういえばDVDを返すのは今日だったような・・・

気晴らしに返しにいこう。

ついでにまた借りてお友におやつを買えば完璧だろう。


 ーーー長座体前屈(柔軟性)ーーー


 財布とスマホを持って家を出ると入れ替わりで帰ってきたお母さんと遭遇

「あら、出かけるの?」

「DVD返しにね」

さ、出かけよう。

「財布と携帯は置いていくの?」

玄関のドアノブに手をかけたところで振り返ると

さっき靴を履こうと腰を下ろした床に財布とスマホをおきっぱなしにしていた。

母と会話したものの数秒で財布とスマホの認識がなくなるとは

・・・若年性じゃくねんせいのアルツハイマーかな私・・・

「本当にしょうがない子ね」

母が私の財布とスマホを取ろうとして体を曲げる。

その姿勢が長座体前屈の姿勢に似ていた

・・・あ、柔軟性はこれでいいか・・・

膝を曲げずに床に手がつけば柔らかいでいいよね。

思わぬところで測定ができてしまった


 ーーーー垂直跳びーーーー

 近くのレンタルショップに行き

次は何を借りようかとその辺をぐるりと見回すと

小さな女の子がプリキュアのDVDを取ろうとしてジャンプしていた

・・・なるほど欲しいものが高い位置でなおかつ飛んだら取れるくらいの

    位置にあるば確かにジャンプするな・・・

思わぬ発見は意外なところにあるものだ

これをなんとか応用できないものか

家に帰り

リビングの隣の和室にあるタンスの一番上に脚立を使って

お母さんの目の届かないよう注意を払いながら

自分の漢字ドリルを設置する

タンスの一番上なら飛べば取れるくらいの高さなので

お母さんが飛ぶ瞬間を見れると思ったのだ

あとはそれを目で確認してメジャーで測れば

立ち幅ではなく垂直跳びだが跳躍力の測定はできるでしょう


 數十分置いて

「お母さんタンスの上の漢字ドリルとって」

「いやよ、めんどくさい。というかなんでそこに置くのよ」

・・・そうだった。自分のこと以外お母さん無関心だったっけ・・・


 作戦変更

今度はお母さんが買い物に行ったのを見計らい行動。

何かお母さんのがよく使うものをタンスの上におけばいい

財布か携帯を持ってきて置いて置こう

そこであることに気づく

・・・そっか買い物に行ったから財布も携帯もないんだ・・・

じゃあ携帯の充電器にしよう

物事の機転というのはね素早くないといけないんですよ

タンスの上に充電器を置く

・・・あとは時がくるのを待つだけ・・・


 そしてその時はやってきた。

時刻は20時。もう入浴を終えあとは寝るだけという時間

「奈々、私の充電器知らない?」

「え、ないんですか」

・・・お、始まったな・・・

「どこに行ったのかしら」

「私知ってるよ。タンスの上」

「なんでタンスの上にあるの」

お母さんは私の思い描いた通りに行動し

目的であった全力とはいえないまでもそれなりに高く飛び

私はお母さんの垂直跳びの測定を行えたのだ

ただ

「ここに置いたのあんたでしょう」

「はい」

「なんで置いたの?」

「なんででしょう」

「一度、脳神経外科に見てもらったほうがいいのかしら

 それとも精神科に行ったほうが」

・・・割とガチで心配されました・・・


 そのほかの種目は残念ながら案が思いつかず

お母さんの体力測定はこれで終わりました。



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