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保守党〜僕たちのお姉様が、遅めの反抗期に入りました〜

作者: ペティ

僕がしっかりしなきゃ。



今日の家族会議は、それにしてもおぞましく、恐ろしかった。


まさか、あの真面目で勤勉なお姉様が、カラオケのオールをしたいなんて言い出すなんて。


「お兄様。今日は怖いことがたくさんありました。とても寝付けそうにないので、宜しければ貴殿のお布団に若輩な私を入れてはくれませぬか。」


僕の10分後に生まれてきた双子の弟が、下手に聞いてきた。


そうだな、弟も怖がってしまっている。ここは兄として威厳と寛容な態度をとるべきだ。



「かしこ。」



あれ、やっぱ動揺してるのかな。なんか変な返事しちゃったよ。

しかしながら弟は意図を察したようで、控えめに僕の布団に潜り込んだ。



そもそも、カラオケのオールとは、いったいどんな意味なんだ。


弟は、やはり不安があるのか、僕の布団の中で猫のように丸くなって硬くなっている。


かわいそうに。弟は夜の暗がりとリベラリズムにはとても敏感なのだ。


ゆっくり弟の背中をさすってあげながら、僕は思考を続ける。



僕は、カラオケというものの存在は知っている。


機械から流れ出る伴奏に合わせて、自身の歌声を拡声器のようなものを通して届ける、といったものだったはずだ。


僕の通う小学校でも、カラオケの話題は耳に挟んだことがある。


その機械には、無数の歌謡が収録されているらしく、友人曰く、楽しいらしい。


僕の好きな「津軽海峡・冬景色」はあるのかな。いやいや、考えてはいけない。


自らを律すること。これがこの家の誇りなのだ。



ある時、お父様は仰らせた。


「太郎。

もしお前の友人でリベラルな者がいるとして、その誘惑に負けそうになった時、思い出しなさい。

我々には、格式高い伝統と誰にも打ち負かすことのできない誇りがある。

コンサーバティブ。コンサーバティブ。コンサーバティブ。」



コンサーバティブ。

これを我がお姉様は破ろうとしたのだ。

カラオケのオール、という方法で。



「オール。」僕は小さく声に出してみた。


その響きには何か得体の知れない、リベラリズムの気風を感じる。


恐らく、オールというからには、お姉様はカラオケの店舗を貸し切ろうとしたに、違いない。


嫌だ。そっちに行ってはいけないよ。お姉様。



家族会議では、お姉様は冷静でいらっしゃられた。


予想外の家族からの反撃を目にして、お姉様は最後に、


「何か悪い風に当たったのでしょう」


と言っていた。



きっと、リベラリズムだ。僕はそう思う。


無意識に、僕は戦隊ヒーローのオープニングを思い出していた。


〜正義は僕らにある。必ず悪を討ち滅ぼすんだ〜


僕は小さな声で口ずさんでいて、それは僕に勇気を与えてくれた。



カラオケにはこの歌も入っているのかな。

カラオケで歌ったら、もっと気持ちいいのかな。


そんなこと、考えてはいけない。



弟が布団の中で大きく身震いをしたので、掛け布団を肩まで掛けてあげた。



僕がしっかりしなきゃ。



相変わらず、超短編ですが、楽しんで読んでいただけたら幸いです。


最初の物語はこちらから。

「保守党〜女子大生にもなって一度もカラオケに行ってないことに違和感を覚えたので、家族会議を開きます〜」リンク:https://ncode.syosetu.com/n0012er/

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