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02

 夕暮れが近付き、窓辺に指す光が茜色を帯びる。帰路につく人々の静かな姿が、透明な硝子の向こうに見えた。

 この時刻になると、客足もほとんど無くなり、日中だけの料理屋も間もなく閉店となる。


 ……さて、宿屋の看板猫として、ちょっと働いてこようかしら。


 窓辺から飛び降り、カウンター席へ向かうと、椅子の上に飛び乗った。前足をついて身を乗り出し、厨房で後片付けをするアランとロナを呼ぶ。


「ニャアン」

「ん? どうしたのリリー」


 洗い場で皿洗いをしていたロナが顔を上げる。

 あのね、ロナ。お姉ちゃん、ちょっとお仕事に行こうと思うの。いつもの、用意してくれる?

 ニャアニャアとしか聞こえないだろう言葉で話しかけ、カウンター席の隅にある小さな小物入れを前足で小突く。ロナは少し首を傾げていたが、すぐに理解したようで、厨房から出てきた。


「今日はその気分なんだね。待ってて、すぐに着けてあげる」


 ロナは小物入れから、プレートが括り付けられた飾り紐を取り出した。私はカウンターに乗ると、お行儀良く首を差し出す。ロナは慣れた手つきで、私の首に紐を結び、ふかふかの襟巻きの上に乗るようプレートの位置を調整する。


「リリー、今日は仕事に出るのか」

「ニャアン」

「そうか、気を付けてな」


 もちろんよ、心配しないで。

 アランにニャアと答え、ロナの胸に胴体を擦り付ける。それからカウンターを飛び降り、私専用の小さな扉をくぐり抜け、外へと踏み出した。

 宿屋の前に敷かれた街路を歩み、茜色を帯びた空の下を颯爽と進む。向かう先は、賑やかな音の鳴る方角――北側と南側の勢力をちょうど真ん中で区切る、町の中央だ。



◆◇◆



 町の中央には、様々な人々が集まり思い思いに過ごす、大きな広場がある。

 立派な噴水が設けられたそこは、憩いの場であり、露天商が敷物を広げる場だ。そして、北側と南側の境目とされている場なので、この広場からは町のほとんどの区画へ進む事が可能とされている。


 ……と、アランとロナは言っていた。つまり表面上は穏やかだが、水面下では熾烈な客の奪い合いが行われている、と。


 まあ、私には、あんまり関係ないわね。


 行き交う人々の間をすり抜けて到着した広場を、さっそく見渡す。夕暮れ時に近い時刻なので、用事を済ませ帰路につく人や、今日の宿屋や料理屋を探そうとする旅人などの姿が見えた。

 それだけでなく、今日は冒険者――未開拓の地を調査したり、危険な魔獣の討伐から旅の護衛任務まで請け負うなんでも屋――が、意外と多く目に留まった。


 ふむ、今日は、探しがいがありそうね。


 私は颯爽と、しかし優雅な足取りで、広場を回った。

 人間の良し悪しの区別には、ちょっとした自信がある。ロナとアラン、近所の人々からは感じない匂いが、悪い輩からはもの凄く漂ってくるのだ。以前、私を捕まえていた奴らも、それはもう鼻が曲がるような匂いを放っていた。そういったものがないかと、私は擦れ違う人々をくまなく観察する。


 あの旅人は……だめね、たぶん別の宿屋を見つけてる。

 あっちの商人さんは……動物嫌いね。私の事睨んでたわ、論外よ。

 あっちの冒険者さんたちは……うーん強い雰囲気だし猫好きそうだけど、やっぱり宿屋が決まってるみたいね。


 人の姿は多いが、なかなか“これ”というのが見つからない。気付けば、明るい空はすっかりと茜色に染まり、微かに瞬く星が浮かんでいた。今日は外れだろうかと思い、噴水の縁に飛び乗った。


 ――すると。


「はあ~! 疲れたぁ!」

「本当にね。でも、夜になる前に依頼が終わって良かった」


 少女たちの声が聞こえ、ぴんと耳を立てる。

 私の位置から、ちょうど反対側。背中を向けて腰掛ける、後ろ姿が二つあった。

 私は立ち上がって、彼女たちのもとへ近付く。どちらも若く、あどけない可愛らしさが残っている顔立ちだった。きっと十六歳、十七歳ほどだろう。ロナよりもお姉さんで、アランよりも年下だ。しかし、一方は剣を携え、もう一方は弓矢を背負っているので、身なりからして冒険者であるとはすぐに想像がついた。


「依頼の完了報告は終わったし、宿を探さないと。もう夕方だもんね」

「賛成。でも何処が良いかな、正門の近くには宿屋がたくさんあったけど……」


 しかも、今日の宿を探している様子である。

 二人とも優しそうだし、嫌な“匂い”もしない……。よし、この二人にしよう!


 毛足が長くふわふわとする銀色の尻尾を立て、ニャアン、と呼びかける。二人の少女は、一瞬驚いた面持ちを浮かべ、私に視線を向けた。


「わ、猫? 綺麗な色してるねえ」

「本当……って、すごく大きな猫ね」


 ふふん、そうでしょう。ロナとアランが飽きもせずブラッシングするから、自慢の色艶に……ちょっと、その言い方じゃ私が太ってるみたいじゃない。


「おいで猫ちゃん」


 弓矢の少女が、手招きをする。その指先に私が額を擦り付けると、少女は嬉しそうに微笑んだ。


「わ、なつっこい。可愛いなあ」

「何処かの飼い猫かな? 魔獣っぽいし、野良ではないよね」


 動物好きなのだろう、指先の動きは予想外に気持ちよく、ついウニャウニャと声がこぼれる。そのうち、剣の少女もいそいそと移動し、私の背中を撫で始めた。二人の少女に挟まれ、私はしばしもふもふされる。


「って、猫を触ってる場合じゃないわ。今日の宿を決めないと」

「あ、そうだった……」


 自慢の毛皮にすっかり夢中になっていた二人は、目的を思い出し、しゃがんだ身体を起こそうとする。それを押しとどめるべく、私はすかさず後ろ足で立ち上がり、前足で少女の肩にタッチした。

 普通の猫とは違う体格なので、こうして立つと、目線の高さが少女の顔にまで余裕で届くのだ。


「わッどうしたの猫ちゃん……あれ?」


 弓矢の少女は、私の首元を見つめる。襟巻きの上に乗っているプレートの存在に、ようやく気付いてくれたらしい。彼女はそれを指で摘まむと、顔を近付け、掘られた文字を呟く。


「『泊まる場所をお探しでしたら、猫のいる宿屋はどうですか。この子が道案内しますよ』……?」

「なにそれ、宿屋?」


 二人は不思議そうに顔を見合わせた。


「えっと、猫ちゃんが連れて行ってくれるの?」

「ニャアン!」


 もちろんよ。私は看板猫なんだから。

 返事をすると、途端に二人は吹き出し、クスクスと笑い声をこぼした。


「ぷ……今の、返事したのかな。ねえ、その宿屋で良いんじゃない?」

「正門近くの大きい宿屋、うるさそうで気乗りしなかったしね。うん、私は大丈夫」


 あら、それだったら安心して。うちは居心地良いわよ。まあ、人が少ないから静かだというのも否めないけれど。


「じゃあ、猫ちゃん、君のいる宿屋に連れて行ってもらえるかな」


 良いわよ、ついてらっしゃい。

 私は噴水の縁から飛び降り、二人の少女を呼ぶ。彼女たちを連れ、北側の区画へ向かった。


◆◇◆



「なんだか不思議な気分ね。猫に宿屋を案内してもらうなんて」

「本当」


 楽しそうに笑う二人を伴い、私は北側の大通りへ踏み入れた。立ち並ぶ店や家々に明かりが灯り、夜を迎える準備が始まっている。行き交う人々もまだ多く、賑やかな声が聞こえた。


「おや、リリー、お客さんを連れてきたのかい」

「ニャア~」


 声を掛けてきたのは、顔馴染みのご近所さんだ。それに挨拶を返し横切ると、その後もたくさんの人が声を掛けてくれた。


「やあリリー。散歩かい?」


「こんばんは、リリー。可愛い女の子たちを連れてるのね」


「おう、リリー。今日は冒険者の女の子たちかい。お嬢ちゃんたち、武器や防具に不安があったらいつでもうちの店に来てくれよ!」


 少し進むたびに声が掛かるので、後ろにいる少女たちは目を丸くしている。「人気者なんだね猫ちゃん」と感心したように呟いた。


 まあね、宿屋の猫といったら、ここじゃ私くらいだもの。


 しかし、こうして声を掛けてくる事に、嫌な気分はまったくない。観賞用ではなく宿屋の看板猫として、アランとロナの家族として、北側の仲間として、受け入れられているという証拠なのだ。

 ちょっぴり良い気分になり、私は尻尾を高々と持ち上げた。




 大通りをしばらく進み、見慣れた宿屋“陽だまり亭”へ到着する。

 空はすっかりと暮れ、入り口に設置されたランプが明るく灯っていた。

 私は早足に進むと、後ろへ振り返り、二人の少女を呼ぶ。彼女たちは建物を見上げながら、扉の取っ手を掴み、ゆっくりと押した。


 カランカランと、ベルの音が響く。

 すぐさま、パタパタと可愛い足音を鳴らし、ロナが駆け寄ってきた。


「あ、いらっしゃいませ!」

「こんばんは。あの、冒険者二名なんだけど、大丈夫ですか?」

「はい! もちろんです!」


 こちらへどうぞ、とロナがフロントへ誘導する。私は彼女たちから離れ、ロナの足に身体を擦り付けた。


「おかえり、リリー」

「ニャ~」


 ロナはすぐに顔を上げ、お客様の対応をする。私もフロントへ飛び上がると、帳簿に名前を記入する様子を見つめる。

 しかし、鳥の羽根があしらわれたペンが、私の目の前でふわふわと揺れる。

 挑発するような動きが気になり、じっと目で追いかけ……思わず、手を伸ばしてしまった。

 ぺしりと叩かれた羽根ペンは、文字を書く欄の外にまで、ビーッと黒いインクを走らせる。


「ああッリリー! お客様の邪魔したらいけないよ!」

「ニャアン」


 だってこの羽根ペン、私の事をいつも誘惑するのよ。

 そのせいで、帳簿の文字は、半分以上が見苦しく歪んでいる。私のせいではないと妹分に説明したが、ロナには伝わらず、彼女は唇を尖らせぷんすこと怒った。


 ――すると、正面に佇む少女たちが、クスリと笑みをこぼす。


「ふふ、平気だよ。リリーちゃんって言うんだ、可愛い猫だね」

「さっき大通りで、色んな人に声を掛けられてたよ。人気者なんだね」


 途端に、ロナは頬を染め「そうなの!」と嬉しそうに頷いた。


「リリー、とっても綺麗でしょ。自慢の家族なの!」

「ほらほら、ロナ。リリーは良いから、お客様をご案内しなきゃ」


 厨房から身を乗り出したアランが、可笑しそうに笑う。ロナは恥ずかしそうに頷くと、部屋の鍵を握り、二階へと案内していった。

 彼女たちの姿が遠ざかり、三人分の足音と明るい笑い声が薄れてゆくと――すかさず、アランが厨房から飛んで来た。


「えらいぞリリー、さすがだ!」

「ンナァ~」


 にこにこと笑いながら、アランは私の襟巻きをもふもふする。

 そんな嬉しそうな顔を見せられたら、私だって満更じゃないわ。

 誇り高い魔獣である事を忘れ、喉をゴロゴロと鳴らし、アランの大きな手に頭を擦り付けた。




 ――きっかけは、本当に偶然だった。

 その日、たまたま町中へ遊びに出ていた私は、宿屋を探しているらしい旅人と遭遇した。どうやらその人間は、かなりの猫好きだったようで、私の後ろをこそこそと着いて回った。鬱陶しく思ったけれど、ちょっかいを掛けてくるわけでもなかったので、旅人の存在を無視しアランとロナの居る宿屋へ帰った。


 その結果、旅人はそのまま宿屋に泊まってゆき、私は客を捕まえたような形になったのだ。


 私にはそんな気は全くなかったのだが、アランとロナは大喜びし、私の事をこれでもかと褒めちぎった。向こうが勝手に着いて来た結果であったのだが、そんな風にはしゃいでいるのを見たら、悪い気はしない。


 それ以来、私は宿を探しをしている人をたまに見つけては、連れてくるようになった。二人がわざわざ手製してくれた、プレート付きの首飾りを下げて。

 ささやかな集客だが、今のところ無敗である。断られた事は一度もない。




 お客様のためにアランとロナが夕食の準備を始め、しばらく経った後。

 宿屋の入り口に掛けられたベルが、カランカラン、と軽快に鳴った。

 毛繕いを止め、開かれた扉へと顔を向けると、そこには柔和な面持ちの男性が佇んでいた。


「こんばんは、アランさん、ロナさん」

「あ、商人の……! お久しぶりです、ようこそいらっしゃいました」


 男性は、ふっくらとした身体に似合う、穏やかな笑みを浮かべていた。

 どうやら、彼は以前、この宿屋へ泊まっていってくれた人らしい。どことなく見覚えがあったが、アランはしっかりと記憶していたようだ。

 さすが、宿屋の主としてしっかりしているわね。私とは大違いだわ。


「実は仕事で町に来まして、今晩は泊まっていく事になったんです。今日は友人も一緒なんですが、お願いできますかな」

「もちろんです。ほら、ロナ」

「はーい!」


 私もゆっくりと身体を起こし、帳簿に名前を記入する商人たちのもとへ近付く。フロントへ飛び乗り、看板猫らしくご挨拶をすると、男性は分かりやすく表情を明るくした。柔和な面持ちに、さらに人好きそうな笑顔が弾ける。


「おお、リリーさん。お久しぶりです」

「ナァ~」


 さっそく手が伸び、私の背中を撫で始める。まったく、看板も大変ね。

 すると、嬉しそうな彼の隣で、友人だという男性が口元を緩めて言った。


「ほう、なるほど。この子がお前の言う、幸運の猫か」

「そうだとも、可愛いだろう!」


 ……幸運の猫? 何かしら、それ。

 初めて耳にした言葉に首を傾げたが、彼らはロナに案内され、二階へ向かってしまった。


「……リリー! 今日はすごいぞー!」


 そして、厨房から飛び出したアランは、またもや私のもとへ駆け寄ってくる。先ほどにも増して笑顔を咲かせ、しまいには私を掲げて振り回し始めた。

 まったくもう! 嬉しいのは分かったから、レディをぶん回すもんじゃないわよ!

 私は前足を振り上げ、アランの額へ肉球を叩き付けた。



◆◇◆



「じゃあ、おじさんも最初、この猫ちゃんに連れてこられたんですね」

「ええ、あんまりにも可愛かったもので、つい。猫の道案内というのも、珍しいですからな」

「同じです! 断れないですよね」


 冒険者の少女と、商人の男性が、笑い声を上げた。

 私という共通の話題があるためか、彼らは同じテーブルにつき、夕食を共に楽しんでいた。


 今日のお客様はこの二組だけだが、空気は明るく弾んでいる。給仕をするアランとロナも、嬉しそうだ。


「リリーはね、宿を探してる人を見つけるのがすごく上手なの。リリーにもよくしてくれる、優しい人達を連れてくるの」

「リリーの集客は、今のところ無敗なんですよ。みーんな断れなくて着いてくる」

「やられたー! 私も断れなかった一員かー!」

「ふふ、でも、この宿屋を見つけられて良かったです。優しい雰囲気だし、ごはんもすごく美味しいし」


 彼女たちの言葉は、嘘の無い本心だろう。実際、彼女たちが口にしてしているスープは、おかわり二回目だ。

 ふふん、そうでしょう。アランの料理はおいしいのよ、私が言うんだから間違いないわ。




「……あ、そういえば。おじさん、さっき言ってたけど、幸運の猫って?」


 夕食後のデザートを味わっていた少女が、思い出したように尋ねた。


「ああ、以前、この町に来た時、実は少し仕事に行き詰っていましてね。久しぶりに大きな商談が控えていて不安だったんだけど、リリーさんのいるこの宿に泊まったら、なんとその商談相手はリリーさんに骨抜きにされた人でね。話が弾んで、商談も上手くいったんだ」

「こいつときたら、俺だけじゃなく他の仲間たちにまで『あの宿屋の猫は、幸運の猫に違いない!』と何度も話してね。今日の宿も即決だったよ、まったく」

「へえ~そうだったんですか」

「リリーちゃん、顔が広いのね」


 感心して頷いているところ悪いが、私にそんな特別な力はない。ちょっと“嫌な呼び方”はされていたが、普通の魔獣だ。


「まあ、実物を見たら、分からんでもないな。不思議な雰囲気の猫だし」

「魔獣の一種なんだよね、きっと」

「うん……たぶんそうだろうって。調べても結局分からなかったんだけどね。あ、それにね、リリーはとっても目が綺麗なの」


 ロナはダイニングを照らす明かりの下へ椅子を引っ張ると、そこに私を呼んだ。

 まあ、ロナならいっか。

 寝転がっていた身体を起こし、椅子の上へ飛び乗る。


「ありがとう、リリー。ね、見て!」


 ロナは顔を上げ、四人へ声を掛ける。彼らは不思議がりながらも、ロナに呼ばれるまま私の側へやって来る。


「リリーの目はね、光の色とか角度とかで、色んな風に色が変わるの。すごいでしょ、綺麗な宝石みたい!」


 私の瞳を覗き込んだ瞬間、彼らの表情が驚きに染まる。陶然とするような溜め息が、薄く開いた口からこぼれ落ちた。


「なんと、これは」

「綺麗……」


 自らの両目を見る機会はあまりないので分からないが、なんでも私の目というものは、格別に美しいらしい。

 光の量、色、角度……僅かな変化で、多様な青へ輝くというこの目を、かつて“宝玉”と称された。


 その言葉に対し、ろくな記憶はない。檻に閉じ込められ、観賞用にされた、窮屈な思いばかりが過ぎ去る。

 しかし、ここで暮らすようになってから、昔を思い出す事は少なくなった。


「リリーは、不思議な子なの。リリーが来てから、明るくなった。自慢の家族なの。ね!」


 ロナは細い腕を伸ばし、私をぎゅっと抱きしめる。彼女の肩越しに、アランの笑顔が見えた。


 そうね、私も不思議で仕方ないわよ。

 人間嫌いだった私が、ここに居続けて、人間から家族と呼ばれて悪い気がしないなんて――。


 ロナとアラン、宿泊客に囲まれ、私は毛足の長い尻尾をくるりと揺らした。



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