いっときの休息とアイノアとアルザスと
カノンとアスカがモンスターの討伐から村に帰ると、村長と1人の男の人が揉めていた。
何事かと思い村の人に聞くが理由はわからない。
「ただ今戻りました。騒がしいようですが、何かあったのですか?」
「ああ、これはカノンさん。それがですね、何かトラブルがあったみたいで村のみんな集まっているんですけど何があったかはさっぱりわからないんですよ。」
そんな会話をしている間も怒声が飛び交っていた。
カノンは無理やりでも前に出ると、そこには村長と一人の男性が喧嘩していた。
「村長さん!村長さん!」
カノンが声を発すると2人がこちらに振り向いた。
「カノンさん、帰られていたのですね。お帰りなさい。」
村長はカノンに気づくとそう言った。
すると、男の人が
「親父、この人が村を救ってくれるっていうカノンさんか?」
「ああ、そうだ。」
肯定すると、
「カノンさん、紹介します。こいつはわしの息子でヴィレソンといいます。」
「カノンです。ヴィレソンさんよろしくお願いします。」
「ああ、こちらこそよろしく。
では、俺から伝えよう。簡単に言うと君たちに倒してもらいたいモンスターがいるんだ。
たが、そいつがいるのは君たちの行った洞窟を抜けた先にある。そして、そこには敵対しているアルザスの町があるんだ。アルザスの町が襲われる可能性が高い。親父はそのまま放っておけばモンスターにやられるだろうと言っていて、実際その可能性は高い。そこで俺は、君たちにモンスターを狩ってもらい、向こうと和平交渉をしようと考えたんだ。争いをやめて平和に暮らそうとな。
この村に戻ってきたって事は洞窟の主であるワームも倒したんだろ?」
「なんと!それは本当ですか?」
村長が驚きながら尋ねる。
「はい。アスカが襲われるのを見て、無我夢中に剣を振り続けていたら倒していたんですが、すぐに気を失ってしまったのでその事はあまり覚えていないんです。すみません。」
その後もカノンが洞窟は起こったことを詳しく話した。
「そうだったのですか。カノンさんには討伐の才能があるのかもしれないですね。そういうことなら問題ない。カノンさん、私からもお願いします。」
村長は感心しながら改めてカノンに頼んだ。
「わかりました。僕も出来る限りやってみます。」
カノンが頼みを引き受けると、ヴィレソンがありがとうと言って握手を交わした。
「では、準備をしてアルザスの町に向かいます。」
「カノンさんよ、君らが採ってきた素材で武器を新調してやるぜ。」
声がした方を向くと、そこにはフォーギンがやって来ていた。
「村長から頼まれたものをしっかり採って来たんだろ?確か君らの武器強化のためだったはずだよな?」
フォーギンがカノンと村長に確認する意味も含めてそう言った。
「はい。全て調達しましたよ。」
カノンが答える。
「分かっていたのか。流石だフォーギン。その通りだよ。わしとしては、狩に慣れることも含めて考えていたんだが、まさか巨大なワームも倒すとは思ってなかった。本当に驚いた。そんなわけでフォーギンよ、カノンさんが集めた素材とわしから出す素材を使って最高の武器と防具を作ってくれ。」
村長はそう言ってフォーギンに素材となる剣や鉱石など色々と渡していた。
「じゃあ、完成するまでに他の準備をしたり休んだりしていな。出来上がったら届けるからよ。」
フォーギンは鍛冶場に戻っていった。
「ひとまず、今日はゆっくり休んでくださいね。
出発するときは万全な状態でないと大変ですから。
みなさんもお騒がせして申し訳ありませんでした。
もう大丈夫ですので、戻ってください。」
村長のその言葉で村のみんなは自分たちの場所に戻っていった。
「アスカ、これからどうしようか。」
「まあ、村長さんのいった通りゆっくり休みましょ。あんまりよく見てなかったから気づかなかったけど、この村にも色んなお店があるみたいだからまわりましょうよ。」
「それもいいね。日も落ちて来たから先に夕食かな?何が美味しいんだろう。
あ、あれ見てよ。なんか美味しそうじゃないか?」
「ん?どれ?」
「あそこだよ。肉料理が食べられるみたいだよ。アスカの好きな食べ物ってハンバーグじゃなかったけ?」
「よくそんなこと覚えてるわね。それ言ったのだいぶ前じゃない。まぁ、あのお店にしましょう。」
返事を聞いたカノンはアスカの手を取り向かって行った。
「いらっしゃいませ。こちらがメニューになります。お決まりになりましたらお声かけください。」
中に入るとそこは別空間のようだった。森の中にある村とは思えないほどの明かりとメニューの豊富さ、料理の匂いの素晴らしさがあったのだ。
メニューを見ると聞いたことのある料理が書かれていた。少し迷いながらもそれぞれが好きなものを注文する。カノンはステーキをアスカはハンバーグをメインにサラダ、スープ、デザートを注文した。
「ねぇ、カノン。私、このお店に入った時に家族や友達のことが頭に浮かんだの。訳もわからずこっちに来て生活してるけど、向こうは時間は進んでいるのかな?」
「それは俺にもわからないけど、実は俺もおんなじことを考えていたんだ。この店の雰囲気が自分たちの家と似ているのかもしれないな。暖かくてゆったりしていてとても落ち着く。
みんなに会いたいな。」
「うん、会いたいね。」
2人で家族の話をしていると料理が運ばれて来た。
「旅行している気分で、俺たちのやるべきことをしよう。まずは料理を食べようよ。」
そうだねと応えて2人でいただきますと言って食べ始めた。
「わあ、これ美味しいよ。肉汁が溢れてくるし、今まで食べはことのない味がするの。カノンにも分けてあげるから食べて見てよ。」
アスカは頼んだハンバーグを絶賛。カノンも一口食べてみると、アスカの言う通りとても美味しかった。
カノンのステーキも運ばれて来た。
「こっちもとてもジューシーだ。厚みはあるのにすんなり切ることができて柔らかい。口の中でとろけるようだ。アスカも一口食べる?」
「うん、食べたい!」
一口食べると、何これ、本当にステーキなの?本当にすぐ溶けちゃう。と、これまた絶賛。
こうして料理を堪能した2人は店を後にする。
「やー、美味しかったねー」
「本当美味しかったな。また食べに来れるかな?」
「大丈夫。来れるよ!たぶん。」
「そうだよね。戻ってくるんだもんね。
じゃあ、次はどこに行こっか。」
「俺、図鑑を買いに行きたいんだ。」
カノンがそう言うと、アスカは何の図鑑?と質問してくる。
「モンスター図鑑だよ。俺たちが見てきたものの事何も知らないだろ。どんな名前のモンスターを倒していたのか。他にもどんなモンスターがいるのかを知っておきたいんだよ。」
カノンか説明すると「なるほど」と納得してくれた。
善は急げ、早速図鑑を買いに行く。森、海、山それぞれの図鑑が売られていた。
「まずは森のモンスターのことだな。他のも気になるけど、俺たちが行くとしてもだいぶ先のことだろうし。」
そう言ってカノンは森に潜むモンスターの図鑑を買った。
「早速見てみようか。今回であったモンスターが何なのか気になるんだろ?」
「うん、気になる。早く読もう。」
部屋に戻り図鑑を開く。そこには聞いたこともないような名前が何百と書かれていた。
「スライム、ケルディア、ウォルス、あとはワームくらいかな。大きいのはタイラントワームだってさ。」
そうカノンが言うとアスカが返す。
「でも、見てよ。倒すのが厳しかったタイラントワームが狩りやすいって書いてある。他のモンスターはもっと厳しいみたい。」
「本当だ。あれで苦戦してちゃいけないんだな。もっと強くならないといけないな。」
アスカもそうだねと肯定し図鑑を閉じた。
「アスカは先に寝てなよ。俺はやることがあるからさ。」
「やることって何?どうせなら私もついていくよ。」
「フォーギンさんのところに行くだけだよ。だからアスカは先に休んでて。」
「わかった。いってらっしゃい。」
カノンは部屋を出てフォーギンの元へ歩いていった。
「フォーギンさん、夜分にすみません。少しよろしいでしょうか。」
「カノンさんこんな時間にどうしたんですか?」
フォーギンか中から出てきて言った。
「一つ武器の生産をお願いしたくてきたんです。このようなものですが、作れますか?」
そう言ってカノンは一枚の紙をフォーギンに差し出した。
「これはどんな武器なのですか?今まで見たことないですよ。」
「これは銃というものです。ボウガンに似ている構造ですが、片手で使えるサイズなんです。」
フォーギンの質問にカノンは答える。
「なるほど、よくわかりした。これならすぐに作れそうです。完成したら連絡しますので、今日は休んでください。」
「はい、ありがとうございます。でほ、よろしくお願いします。」
カノンはフォーギンにお礼を言い部屋に戻った。
アスカはすでに寝ていたが、カノンは彼女の額にそっとキスをしてからその日を終えた。
次の朝、カノンが目を覚ますとフォーギンからの便りを見つける。それを見るとすぐに鍛冶場へ走った。
「フォーギンさん、おはようございます。昨日お話しした銃が出来上がったのですか?」
カノンが息を切らしながら声をかけると、
「おう、出来上がったぞ。こんなもんでどうだ?」
カノンはフォーギンから銃を受け取り、使い勝手を見る。
「完璧ですね。1日でここまで作り上げるなんて凄いですよ。ありがとうございます。」
カノンはフォーギンにお礼を言い、お代を渡して2度目の冒険の準備に入った。
前の冒険から変わったことは銃があることと図鑑が入っていることだけだが、カノンとアスカは次の町を目指して村を出た。
第3話めを読んでいただきありがとうございます。
今回は討伐と関係ない休息の時間を書いてみましたが、如何でしたでしょうか。
話がまとまってなかったり、今の通じない言葉があったりするかも知れません。
自分が至らなくてすみません。
ですか、読まなくていいやと思わずに
宜しければ第4話も読んでいただきたいです。
繰り返しますが、この度は読んでいただきありがとうございました。また、次話でお会いしましょう。