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壊れたセカイ ~0~  作者: 黒華
7/8

introduction 7

 「会えるのを楽しみにしてたんだよ」

 葵はそう言いながら自分の背丈よりも長い薙刀を俺に向けた。

 「五年待ったんだよ、あの日からずっとね」

 葵の周囲に輝く結晶のようなものが舞い始める。川の欄干、葵の足元が徐々に凍てついていく。

 「お前と戦うつもりはない。俺は話をしにきただけだ」

 「そんなこと言わないでさ、やっと会えたんだから五年前の続きしようよ」

 五年前。あの日の殺し合いの続き。

 「なにを考えているの。僕は待ってあげないよ。君にそのつもりがなくても、容赦しないから」

 葵が冷気に包まれる。周囲が凍てついていく。

 「僕のこと憎いでしょ、恨んでるんでしょ、復讐したいんでしょ」

 俺は復讐者。この世界も葵も俺の手で壊す。だがそれは今じゃない。今葵と戦えばどちらかが死ぬ。そうなったらこの世界を壊せなくなる。

 「今はお前と戦っている場合じゃない。話を聞け葵」

 「僕の名前を気安く呼ばないでよ裏切り者。それとも人間をやめた化け物かな」

 口元に笑みを浮かべながらも目にははっきりと殺意を抱いている。

 紅い刃の柄を握る。殺さなければ殺される。

 「君が生きているから僕は罪に縛られなきゃいけないんだ。君がいなければ僕が正義なんだ」

 葵が叫ぶ。俺の中で血が沸々と暴れ出していた。理性が、化け物に喰われようとしていた。

 「君を殺して、あの日を終わりにする」

 「俺はまだ死なない。この世界を壊すまでは、死ねない」

 約束を果たすまでは、死ぬわけにはいかない。

 風が吹き氷の結晶を巻き上げる。俺たちは同時に地面を蹴った。

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