爽やかな始まり。
少し、昔話をさせてくれないかな?
いやいや、何も桃太郎の話をするわけじゃなくてね。
私がまだ自分のことを「俺」と呼び、青春と言う名の特別な時間を身にしみて感じていたころ。
私の周りには少し変わっているけれど、心のそこから温かいと思える人たちがいたのです。
そんな変わり者たちと私の甘くて酸っぱい時間の話。
少しだけお付き合い願えないでしょうか。
「ん・・・ん・・。」
窓から差し込む光が眩しくて目を覚ます。
朝はとても好きだ。
起こしてくれる人はいない。
何せ俺は一人暮らしなのだから。
ぐっと伸びをしてトーストをトースターに放り込む。
今日は俺の進学した高校の入学式。
これから始まる新しい生活。
俺の鼓動はトクントクンと脈打っている。
朝食のパンを急いで胃に入れ、バックを持って家を飛び出す。
返事してくれる人なんていないのに、俺は「行ってきます!」と言って家を飛び出した。
教室には俺以外に3人の人物がいた。
一人目は、不思議系天然少女。
窓を空け、木に止まっている小鳥に向かって
「いや~いい天気ですね~」
なんていっている。
普通なら(何だあの変人は・・・?)とか思うところだが、俺はそうは思わなかった。
それどころか、少しの間見惚れてしまった。
だって物凄く「絵」になっていたのだから。
そう、彼女はいわゆる「美少女」の類に入る人物だったのである。
暫く彼女は小鳥と話していたが、やがて俺の視線に気づいたらしく、小さく「あっ・・・」と言った。
「おはようございます。」と先に言ったのは俺。
彼女は満面の笑みで「おはよぉ~」と言った。
なんだろうこの人は・・・。まさに癒し系の究極体だ。
そのおっとりした表情と声に早くも恋の予感を感じる俺だった。
二人目は、がり勉系イケめがね。
誰とも話すことなく、一人で黙々と本を読んでいる。
そのクールな横顔からは上品な気質とともにすごい集中力を感じた。
なんというか・・・話しづらい・・・。
まあ、無理に話しかけることはないだろう。
この人は後回しでも構わないだろう、俺の直感がそう確信した。
さて・・・次は・・・。
三人目を観察しようと前に視線を向けると・・・。
「うわっ!」
その三人目の顔がすぐ側にあった。
「お前・・・良い顔してるな・・・。」
口調から察して男だと思った人も多いだろう。
だが実際は違う。
超絶美少女だった。
俺は当然のごとく赤面した。
「な・・・なな・・・・!?」
彼女の顔が良く見える。
野生のチーターを連想させる鋭くてくりくりした目。
口から少しだけはみ出た八重歯。
みずみずしく光る彼女の唇に俺の意識は集中してしまう。
「お前、名前はなんて言うんだ?」
「え!?あ、はい!今港 信二っていいます。」
「ふん、信二か。良い名だな。」
生まれて初めて名前をほめられた。
(良い名・・・か。)
「あはは・・・」
自然と顔がにやけてしまうので誤魔化すように笑った。
「うん、いい笑顔だ。俺は二九坂 楓だ。楓ってよべ!なははは!」
楓さんか・・・。笑い方も可愛いな・・。
気がつくと周りには結構人が来ていた。
俺は何だかいいスタートが切れるような気がした。