灰色の日常
人は他人から自分への評価で変わってしまう。
もっといえば、他人がいるから自分ができていくのだ。
「可愛い」と言われれば、美意識が高まりもっと可愛くなったり。
「頭良いね」と言われれば、また言われたいが為に更に勉強に励みもっと成績が良くなったり。
だから人に「冷たいね」って言われ、自分は冷たい人間なんだた納得し、本当に冷たい自分になってしまったのも仕方の無いことなんだ。
私~細川詩音~は様々な失敗を繰り返した結果、ハブられてしまった。
1番ヤバかったのは失恋した友達の相談にのっているときに、私だけが泣けなかったことだ。
私は幼い頃から周りの物や人に感情移入したことが一切無い。
映画・本なんかで泣いたことも無い。
なぜアレで泣けるのか理解できない。
私には一生理解できないものなのだろう。
感情移入できないから、友達に合わせることも難しかった。
正直、ぼっちは寂しい。
寂しくない人はいないと思う。
人って愛を求める生き物だし。
私だって、誰かに愛されたい。
両親は出来のいい弟を溺愛していて、私には見向きもしない。
そう、親にすら愛されたことが無い。
・・・と私の話はおいといて。
急がないと遅刻しちゃう。
今日は始業式。
今年から中二だ。
ハァハァハァ・・・
春休みで体が鈍っているのが一目瞭然だ。
ガラッ
ドアを開けると、騒がしかった教室が沈黙に包まれる。
もう馴れた。
何事もない風を装い、自分の席に。
机の中にはボロボロにされた私のノートとゴミ。
またか・・・
ガラッ
「皆さんおはようございます。
今日から一年間このクラスの担任を勤める篠原です。
よろしく。」
「うわぁ~担任、男かよ~」
「えぇ~」
「最悪」
ガヤガヤ
「ゴホン・・・え~今日から新しい仲間が加わります。
入ってきて!」
「こんにちは。
藍川礼といいます!
みんなと仲良くしたいです。
よろしく!」
「キャー」
みんな(女子だけか・・・)が騒ぐのも無理は無い。
結構かっこいいと思う。
興味ないけど。
「じゃあ、席は細川の隣な!
分かんないこととかは、細川が教えてやってくれ」
うわぁ・・・
迷惑。
だって・・・女子睨んでるよ・・・
怖いって。
「細川さん。
よろしくね。」
神的オーラを発するリア充(第一印象w)に、ため息をつくしかなかった。
始業式とHRのあとは解散となった。
家に帰って今日を振り返る。
いつもと変わらない日・・・
じゃないや・・・
さらに女子が敵に回った気がする。
あんなん興味ないのに。
迷惑ー。
私の味方は誰もいない。
私は何の為に生まれたんだろう。
そう考えると、目頭が熱くなり視界がぼやけていった・・・