6.
この気持ちは
誰にも知られたくなかった
ただ、
君だけに言いたかった
「ミユキ~おめでとう」
本当に久々に会う顔が多い
高校の同窓会
雰囲気が変わった奴とか
すごい仕事に就いた奴がいたり
でも、あの時から
なにも変わらずに笑う人もいた
オキノ ミユキ
高校時代、何回もその名前を追った
生きてきて
初めて綺麗だと思った人だった
「おーい、タカアキーなにすっとぼけてんのー?」
背後からの声に振り向くと
これまた懐かしい顔の友人
「なんでもねーよ」
オキノさんの、結婚相手
「オキノさん捕まえるとか、お前薬でも盛ったのかよ」
「違うって」
おちゃらけた仲間からの冗談半分の質問を
笑ってかわす友人は
俺の目には眩しいほど輝いて見えて
ふと気を抜いたら
嫉妬心で包み込まれてしまいそうな自分が
ひどく惨めだと思った
「タカアキは、彼女とかいないの?」
「どっかの誰かさんと違って薬盛る勇気はないんだ」
とりあえず、笑った
「だーかーらータカアキまでひどいだろー」
高校時代、なにもできずに
声すらかけられなかった俺に
彼女に近づく権利はないと分かっている
そう、思うしかない
俺の初恋は
誰にも知られることなく終わったんだ
*手からこぼれる高校時代
(でも、この気持ちは離れてくれない)