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4.



これは、ずっと昔のこと

私がまだスクールバッグを肩にかけて

周りに何も無い田舎道を

毎日友達とお喋りをしながら歩いていたころ


「このカバン、重すぎて肩が外れるよ」


なんて、よく言ってたっけ

私は青春という名の時期を

ゆっくりと過ごしていた


「おはよう」


教室に着くと

キミが私に笑顔でそう言った

その瞬間、さっきまであれほど重かったカバンが

急に軽くなった。

頭も身体も、宙に浮いているみたい

だけど、そんな時間は長くは続かない

あっという間にパチンと弾けた

カバンは重いし

頭も身体も、

重力の思うがままになってしまった


「おはよう」


それを感じたあと

やっと、キミに言葉を返す

うまく笑えているだろうか

声は裏返っていないだろうか

頭をよぎる自分への問い

今は振り切るしかない


今日は、と決意したのだ

今日こそ、自分から話しかけようと

それはずっとずっと前から決めていた


今日は、キミの誕生日だから

おめでとうって言いたかった

それだけでいいんだ

私は心を整えた

自分の席へつこうとしていたキミに

声をかけようとする


「あっあ「そういえばさ」」


男子がキミの周りに集まった

やっぱり、キミは人気者


「彼女、できたんだって?」


え?


頭の中で

ビー玉みないな何かが

カランと音を立てた

なに、これ


「あんまり大きな声でいうなよ」


否定しないキミ

ビー玉みたいな何かが

もうひとつ

カランって言った


「誕生日プレゼントもらった?」


カラン、カラン


「まぁね」


カラン、カラン、カラン


キミが、笑っている

私に言葉をくれた時の笑顔じゃなくて

顔が赤くて

はにかんでるみたい


カラン、カラン、カラン、カラン


「あれ、どうしたの?」


キミが、私に問いかける


「具合が悪そうだよ」


私は、今どんな顔をしているんだろう

青ざめて

暗く重い顔をしているのだろうか


「そうみたい、保健室行ってくる」


自然と、言葉は出た

私は走りだした


カラン、カラン


頭が痛い

足が止まらない

一体どこまで

走らなきゃいけないんだろう


このビー玉はなんなんだろう



*頭のビー玉




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