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魔法使いと少女~ある魔術師の日記~  作者: 秋川 青寿
異界の少女と宮廷の面々
7/30

3.皇帝と愉快な側近達(1)

三章スタートです。

話は題名の通り(笑)

「貴殿に『瞬間移動』をお願いしたいのだが」


使用人部屋の階に上がった時に非番のメイドやコック達に出くわしてしまったのだ。彼等は時に嘘と真実を織り交ぜた噂話を作る事がある。噂話が発展して、宮廷スキャンダルとして世間に広まってしまう事もある。

「分かりました。二人とも、出来るだけ私に寄って下さい」

私達三人は階段の隅にまとまった。カインの剣の鞘が肘に当たる。正直とても冷たい。とは言え、彼は怪力ではあるが私に比べれば背は低いので、魔術を適用するスペースは少なくて済んだようだ。

一方でアカリは好奇心まるだしの目をしている。彼女の世界にはどうやら魔術という概念が無いらしい・・・・・・ここで私はとんでもないことに気がついた。瞬間移動をした際に、体の弱い者は失神してしまう、ということだ。このまま瞬間移動していれば、彼女は間違いなく倒れていただろう。

「カイン殿、今回は歩きの方が良いかと」

「何故?」

「今回は私と貴方だけでは無いのですよ」

カインは納得したらしく無言でうなずいた。


最上階の皇帝の部屋に着くころにはアカリは既にカインに背負われた状態で眠ってしまっていた。情けないが私も汗だくになっていて、とても皇帝の前で跪くことなど出来ない位に髪や服装が乱れてしまっている。

カインは何とも無いらしくその筋肉質の体には汗一つかかず短い髪はいつも通り整い、無表情を崩すことはない。「早くしろ」と目だけで訴えてきたので、私は自分の身に「洗浄の魔法」をかけた。すると一瞬で汗がまるで何もなかったかのように引いていった。アカリにも同じ魔法をかけ、同時に目覚めさせる。彼女はすぐに自分の状況を理解し、「ごめんなさいっ」と叫ぶように言うとカインの背中から飛び降りた。

「申し訳ありません」

「では、行くぞ」

彼は大きな扉を片手で開いた。

扉の向こうには視界に入らない程に広い部屋が広がっていた。天井からぶら下がったシャンデリアは部屋を隅々まで照らして金や銀の装飾の施された家具の魅力を引き立たせている。 皇帝の趣味である油絵も四枚程貼られていた(人から聞いたのだが、本人が描いたものもあるそうだ)。

私もアカリもこの部屋に来るのは初めてなので、つい我を忘れて見入ってしまう。自分の部屋ももう少し綺麗にすれば・・・と思うのだが、やはりあの大量の本を整理するのは私には恐らく不可能だ。

「おい」

後ろから声をかけるのはやはり唯一冷静なカイン。思わずハッと声をあげ、その場に跪く。

「こ、この度の御無礼・・・・」

「いーよ、顔上げてよ、顔」


途中で遮られ、顔を上げる。

奥に座っていたのは、短い銀髪で大きな青い瞳が印象的な、背の高い女性だった。どこと無く男勝りな雰囲気である。

「カイン、ご苦労様。・・・お茶でも入れるから、入って来なよ」

そう言ってニカッと笑う彼女こそ・・・皇帝である。

お付き合い頂きありがとうございます。

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