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魔法使いと少女~ある魔術師の日記~  作者: 秋川 青寿
異界の少女と宮廷の面々
3/30

1.事件発生(2)

一体彼女は何者だ?

「私が話している言葉がわかりますか?」

これを私が知っているすべての言語で言ってみたものの、どれも通じないようだ。私が話す度に、首を傾げる。

どう会話すればいいのだろう・・・・・あれこれ模索していると、最近開発した翻訳耳輪のことがふと脳裏にうかぶ。とうとう皇帝は通訳しながらの国際会議が面倒になったらしく、私に「私がいなくとも」翻訳魔法が使えるよう魔法具の開発を命じた。しかし使用はそれだけに留まらず、他国の王や貴族との酒の席など正直かなりどうでもいい用途で使われる様になった。

それを使えば、この少女に何かを聞くことが出来るのではないか・・・・私は散らかった机の中から耳輪を取り出した。これはあくまでも「耳」に作用する魔法なので、二人で話すなら二人分必要だ。ありがたい事に試作品が腐るほどあるので、

二人分用意できた。ちなみに初期の物は頭の中に直接声が聞こえて頭が痛くなるため、なるだけ新しい物を使った。


立ちすくんだ少女に耳輪を渡し、目の前で自分の耳につける。それを見て少女も不器用ながらそれを耳につけた。



「聞こえますか?」

「・・・・・は、ハイッ」


全然分からなかった私の言葉が突然分かるようになった事に驚いたのか、少女は大きな目を見開いた。


「貴女はここに倒れていたんです。何故だかわかりますか?」

「えっ、あたしは風呂に入って、ちょっとだけアニメ見て・・・・これは、夢?」

夢だと・・・・言ってあげたいが。

「物がはっきり見えますか?部屋とか、散らばっている本とか、私の顔とか」

「うん・・・・本物みたいに。じゃあ、これは夢じゃないの?」

彼女の眼は、「イエス」を求めている。

でも。

「これは・・・現実です」


知らなければならないのだ。


言った途端、彼女の肩が震え出した。

眼から・・・・涙がこぼれ落ちている。

「帰りたいよぉ・・・帰りたい・・・・帰りたいよぉ!」


私は・・・・・とても冷酷な人間なのかもしれない。

少女をかつての自分と重ねながら、ただじっと、眠るまで彼女の姿を見ている事しかできなかった。

これで一日です。

コメディーどこ行った!

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