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8.その人、来たる(1)

新キャラ登場は次話になります。

「ニホンって言う国の首都は?」

「えーっと・・・・トーキョー?」




建国記念日から三日後、私達は宮殿の中庭を歩きながらこんな話をしていた。

何故今になってこの話かと言うと、ただ単純に忙しすぎて重要な事がそっちのけになってしまっていたからだ。アカリの世界にタイムラグが存在しないなら良いかも知れないが、もしあった場合に帰れたとしても知り合いに会えないといってこちらの世界にいたほうがマシだった、と言うことになりかねない。

できるだけ早く、謎を解明しなければ・・・・・私の思いは、ただひとつ、そこにあった。

出所の分からないこの娘の事を信用するなんて、師匠が聞いたら身をよじって笑うと思うが、根拠も無いのに、彼女の事を信用したくなる。

これもあの男勝りな皇帝のせいだろうか・・・・。

「そうですか・・・・アカリ、貴女は学校に通っていましたか?」

「うん。今小学校一年生」

「ショーガッコー?・・・何歳から何歳までですか?」

「えーっと、六歳から、十二歳?」

そもそも彼女にそんな質問をすること自体が間違っているのだ。・・・もっと基礎的な事から質問したほうがいいかも知れない。

中央の噴水にたどり着いて、ふと思いつく。

この噴水は、魔力で動いている・・・・魔力や火力、水力以外に何かエネルギーがあるのだろうか?

「貴女が住んでいた世界とこちらの世界、どんな所が違いますか?」

自分でも、かなり曖昧な聞き方をしてしまったと思う。しかし、彼女はかなり的確に答えてくれた。

「えーっと、うーん、いろいろ違うんだけど、やっぱりこんな高い建物なのにエレベーターもエスカレーターも無い所が一番びっくりだったなぁ」

・・・意味不明な、二つの言葉。

「エスカレーターとエレベーターって、どんな物ですか?」

「えっ、知らないの?電気で動く階段の事だよ?」

「・・・・デンキ?」




私は「デンキ」と言う物についてアカリに様々な質問をした。

分かった事は大きく二つ。

まず一つは、その「デンキ」と言う物(?)があれば明かりも火が要らないし、アカリが先程答えた様に魔術なしで人間の移動が出来る、と言った様々な事が非常に楽に出来ると言うこと。

もう一つは、それには限りがあって、突然切れてしまう時があると言う事だ。

「例えば、どんな時に?」

「うーん、良くわかんないや」

やはり無理があったか・・・私は落胆したが、気を取り直して違う事を考える事にした。

「そういえば、何か使用人の手伝いをしたいと言ってましたね」

「あっ、うん。だってサレルはいつも暇って訳じゃないだろうし、お世話になってるだけじゃなんだか悪いし」

私は少し感心した。小さいながらにここで何をすればいいのか、よく考えている。

本来なら掃除婦達の所で働かせるのが懸命だ・・・・でも。

「じゃあ・・・私の所で、仕事しませんか?」

「・・・うん」




「サレルー、そろそろお昼だよーー」

「えっ、もうですか?」

「あったりまえじゃん。今日どんだけ遅く起きたと思ってんの」

異世界についての論文(ちなみにこれは『行け異世界』の作者、ロートンが書いたものだ。彼は物語を作る才能こそなかったが、異世界研究の第一人者であった)を熟読している傍らで書物の整理をしていたアカリが上機嫌で言った。恐らく彼女は数刻前から腹が空いていて早く食堂に行きたいと思いつつ仕事が終わらなくて気が遠くなったところ、食事に行く使用人を見掛けて、私を食堂に行かせる理由が出来たからだろう。

しかし・・・・アカリの切実な願いは叶わない。

「早く行こ・・・」

言いかけたところで、バァン、とものすごい勢いでドアが開いた。




「サ、サ、サササササレル様っ!!!!!!!!!」

ドアを開けたのは、警備隊の制服を着た若い男だった。本来は浅黒いであろう顔面が蒼白だ。息を切らしている。

「な、なんですか?」

私もつい彼に押されてしまう。

「そ、それが、その・・・・陽門が、その、壊されてて・・・・・」

「壊された?・・・・・鉄の門が?」




私には分かった・・・・この来訪者もとい侵入者が誰なのか。

せっかく普通の何も無い日々に戻れると思ったのに・・・・私はその侵入者を恨みつつ、作業しかけの部屋を出た。


アカリは六歳なのに、しっかりしていますね。

・・・・主人公のサレル、もう少し良いとこ見せたいですね、ハイ。

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