第ゼロ話 プロローグ
僕は鏡を今見ている。「よし!右斜上に伸びるストライプネクタイ。これなら運気も上がりそうだ!」と、言って気合を入れて、エネルギーチャージを片手に持ち家を後にした。
今日から桜城学園大学附属高校という学び舎は新学期を迎えようとしている。桜城学園大学附属高校。この附属高校は、全国屈指の教員採用試験突破率を誇る教育学部を有する大学「桜城学園大学」の系列校である。特進コース、総合コース、スポーツコースの計3つのコースからなる高校は桜城学園大にふさわしい名門校であり、文武両道が最も実現できている高校として、全国的な知名度も高い。そんな高校に、この4月より八河原 江南という23歳独身の教師が赴任してきた。八河原は、新卒で入った私立高校をたった1年で懲戒解雇になるという偉業を達成させた問題大有り教師だった。そんな八河原を支えるのが僕、桜木 康太20歳。桜城大教育学部社会科専攻の2年生だ。僕は教育現場にいち早く溶け込みたい、そんな想いで大学を一年休学してでも、県が推奨している「教員インターンシップ制度」というものに応募した。どうやら教員不足を解消するための打開案らしい。
僕は心躍る気持ちで、高校へ向かった。
「失礼します!」と、小学生以来出して無かったんじゃないかってぐらい大きい声をあげて校長室へ足を踏み入れた。「今日からお世話になります!桜城学園大学教育学部社会科専攻からやって参りました。大学2年生の桜木康太です!よろしくお願いします!」
「はい、よろしくお願いしますねぇ」
校長先生は62歳の秋元 佳子先生だ。
「にしても休学をしないといけないっていうのにインターンシップ制度に応募する大学生がいるなんて、ねぇ教頭先生?」
「そうですね、校長。私の時代だったら信じられませんよ(笑)。本当にこの選択で後悔はないのかい?」
この人は教頭先生の内神田 雅紀先生、52歳。校長の腰巾着って大学でももっぱらの噂だ。
「僕は一生を教育に捧げたいと思っておりますので、ご心配なく(笑)」
「そういう問題じゃないんだよ、桜木君。君は一年後、休学しているからその分一年下の学年に入らないといけないんだよ?それでもいいというのかねと校長先生は仰っておられるんだよ」
そんなの覚悟の上で来てるに決まってるだろ。イライラしたので会釈だけして校長室を出ようとした。
「ちょっと待っていただけます?」
校長の声が聞こえた。
「君は、まだ教員免許を持ってないから副担任という役職の名前で任せられないけど、サポート役いう名前で実質副担の席を用意しているから、この出席簿のコピー、持っていって頂戴?」
2年α組のサポートを任されることになった。この高校では、どうやら特進を数字で、総合をアルファベットで、スポーツをギリシャ文字で表しているらしい。その中でも今回は2クラスしかないスポーツコースのα組を任された。
「了解です。担任はどこでしょうか?お話をしたいのですが…」と、僕が喋ると沈黙ができてしまった。なんか不都合なことでも言ったか俺と思ったが、そのちょい気まずい沈黙は10秒ほど続いた。
「担任は高校A寮の第二事務室にいますよ…」
なぜそんなところにいるのか不思議に思ったので聞いてみた。
「そんな辺鄙なところに職員室があるんですか!?本校舎から歩いたら6分ぐらいかかるじゃないですか!?」
教頭が口を開いた。
「今月の1日から住みついているんだ、そこに」と。
「どういうことですか?名前は?」
また教頭が口を開いた
「八河原という男です…」
耳を疑った。八河原江南。こいつは県内でも悪名高き教師だ…これ以上絶望を人生で経験したことがあっただろうか…
「まさか、僕の指導教師が八河原先生って言うんじゃないでしょね!?」校長に震える前段階みたいな声で聞いた。
すると、帰ってきた答えは…
「そうよ…ちょっとユニークは人だけど、絶対あなたの力になるわ!」
「え…」
読んでいただきありがとうございます!中の人です。
今回はプロローグということでだいぶ少ないですが、今後は8000から10000字程度のものを、週1程度で発信していけたらなと思います。どうか暖かい目で見守ってください。よろしくお願いします!




