第66話 崩せない質
―王都外縁・荒野―
衝突。
衝撃が爆ぜる。
ゼルとカインが打ち合う。
完成したはずの一撃。
何度も通る。
――はずだった。
―違和感―
「……浅いな」
ゼルが呟く。
確かに当たっている。
ズレもない。
だが。
“足りない”。
―カイン―
「……気づいたか」
低く言う。
「通っているだけだ」
「壊れていない」
―本質―
当たる。
届く。
だが。
“決まらない”。
―リリア―
「……どういうこと……?」
「当たってるのに……」
「効いてない……?」
―ゼル―
「……効いている」
否定する。
「だが」
「削れていない」
―理解―
差は“当てる”ことではない。
その先。
「……中身か」
小さく呟く。
―カイン―
「……そうだ」
短く答える。
「同じ形でも」
「中身が違う」
―再戦―
踏み込む。
ゼルの拳が入る。
完璧な一撃。
ズレなし。
逃がさない。
だが。
―結果―
カインは崩れない。
後退はする。
だが。
ダメージが浅い。
―圧倒的差―
カインの反撃。
同じ一撃。
だが。
ゼルの体が大きく揺れる。
ダメージが違う。
―明確な差―
「……質の差だ」
ゼルが言う。
完全に理解する。
―リリア―
「……質……」
「どうやって……」
答えが見えない。
―ゼル―
「……圧縮じゃない」
「もっと奥だ」
視線が鋭くなる。
さらに深く観る。
―核心接近―
「……“乗せている”」
「……?」
リリアが息を呑む。
―仮説―
「力の上に」
「さらに別の何かを乗せている」
「だから壊れない」
―カイン―
「……いい」
低く言う。
「そこまで来たか」
―ゼル―
「……なら」
短く言う。
「同じことをする」
―締め―
当てることはできた。
崩すこともできた。
だが。
壊せない。
その理由は。
“質の差”。
それを超えた時。
この戦いは終わる。




