368/444
第368話「冷えた給湯室」
城の東棟の奥にある、官僚たちのための給湯室。かつては会議の合間に、高官たちが集まって地方の情勢や予算の分配について、低い声で言葉を交わしていた空間だった。
机の上には、高価な磁器のカップがいくつか並べられたままになっているが、そのどれもが冷え切っており、底には干からびた茶の残滓が黒くこびりついていた。一人の若い使用人が、部屋の隅で古い薪を数えていた。棚の中の備蓄は残り少なく、次の配給がいつになるかの目処は立っていない。
使用人は、薪を暖炉にくべるのを止めた。部屋を温めたところで、ここに集まるべき官僚たちはもう誰も登城してこない。カインたちが失脚し、ガルドの名前が歴史から消し去られたあの日から、この城の中にあるすべての部屋が、順番に死に部屋へと変わっていった。
使用人は空の籠を抱え、何もせずに部屋を出た。彼の足音だけが、誰もいない東棟の廊下に虚しく響き渡る。灯りの消えた給湯室の窓からは、どんよりとした曇り空が覗いていた。
城の内部を支えていた微かな温もりは、誰の命令を待つまでもなく、完全に冷め切っていた。残された食器だけが、かつてそこに人間が存在した証明として、冷たい光を放っていた。




