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第31話 再構築される罠

―魔導区画・上層監視塔―


「……再構築完了」


 リシェルが呟く。


 水晶に映る魔法陣。


 さきほどとは違う。


「固定拘束は破られた」


「なら次は」


「変動拘束」


 冷静な判断。


―理論更新―


「対象は固定を前提としない」


「ならば」


「常に“変化し続ける拘束”で縛る」


 魔法陣が回転する。


 位置が変わる。


 形が変わる。


「……これなら逃げ場はない」


―ゼル側―


「……来るな」


 ゼルが呟く。


「はい」


 リリアが頷く。


「前回とは違います」


「拘束が“動いている”」


「……そうか」


 ゼルは短く答える。


「なら」


「止まるな」


―発動―


 瞬間。


 魔法陣が展開される。


 だが。


 次の瞬間には位置が変わる。


「……っ」


 ゼルの動きに合わせて。


 拘束が追従する。


―追尾拘束―


「逃がさない」


 リシェルが言う。


「行動を読まなくてもいい」


「追えばいい」


 完全な上書き。


―圧迫―


 空間が狭まる。


 逃げ場が減る。


「……来る」


 ゼルが言う。


「……はい」


 リリアが息を呑む。


―捕捉―


 ――閉じる


 空間が固定される。


 今度は完全。


「……捕まった」


 ゼルの動きが止まる。


―リシェル―


「……これで終わりだ」


 静かな声。


 だが。


 今度は確信がある。


「逃げ場はない」


―確認―


「拘束、完全」


「逃走不可」


「……勝ちだ」


―違和感―


「……?」


 リシェルの眉が動く。


「……静かすぎる」


 ゼルが動かない。


 抵抗しない。


 何も。


―本能―


「……おかしい」


 直感が告げる。


「なぜ抵抗しない」


―ゼル―


「……学習した」


 静かな声。


「……?」


「お前のやり方」


「分かった」


 その一言。


 空気が変わる。


―締め―


 捕まえたはずだった。


 完全に詰めたはずだった。


 だが。


 その沈黙は。


 “敗北”ではない。


 “次の一手”だった。



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