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第27話 張り巡らされた罠

―王都・魔導区画 外縁―


「……静かすぎる」


 ゼルが足を止める。


 通りは人影が少ない。


 不自然なほどに。


「はい」


 リリアが頷く。


「監視の気配はありますが」


「接触はありません」


「……誘っている」


 短い結論。


―踏み込み―


「行く」


 ゼルが歩を進める。


 次の瞬間。


 ――展開


 足元に魔法陣。


 光が走る。


「……っ」


 視界が歪む。


―拘束陣―


 重力が変わる。


 身体が沈む。


「動きが……」


 鈍る。


「拘束系魔術……!」


 リリアが声を上げる。


―同時発動―


 左右、上空。


 複数の魔法陣。


 同時詠唱。


「撃ちます」


 冷たい声。


―リシェル―


 建物の上。


 リシェルが見下ろしている。


「侵入経路は予測済み」


「行動パターンも解析済み」


 無感情な声。


「これで詰みだ」


―攻撃―


 光が走る。


 複数の魔術。


 逃げ場はない。


「……」


 ゼルは動かない。


 いや。


 動けない。


―直撃―


 爆発。


 衝撃が広がる。


 地面が砕ける。


 煙が上がる。


―静寂―


「……命中確認」


 リシェルが言う。


「終了だ」


 冷静な判断。


 だが。


「……いや」


 リシェルの目が細くなる。


「違う」


―違和感―


「反応が薄い」


「……?」


 煙の中。


 気配が消えない。


「……生きている」


―煙の中―


 影が動く。


 ゆっくりと。


 立ち上がる。


「……効くな」


 ゼルの声。


 かすかに低い。


 だが。


 消えていない。


―初の評価―


「……なるほど」


 ゼルが言う。


「やるな」


 その一言。


 評価。


―リシェル―


「……」


 無表情。


 だが内心は動く。


「直撃を耐えた?」


「拘束も完全ではない」


「……計算外」


 初めてのズレ。


―ゼル―


「いい」


 ゆっくりと前に出る。


「一度は通った」


「それで十分だ」


 静かな声。


「次は」


「通らない」


―締め―


 最初の一手は。


 リシェルが取った。


 だが。


 それで終わる相手ではない。


 知略と本能。


 その衝突が。


 ここから始まる。



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