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第26話 策士の影

―王都・魔導区画―


「……報告を」


 静かな声。


 整然とした研究室。


 無数の魔法陣と書類。


「ガルド、失脚」


 部下が告げる。


「贖罪塔へ収容されたとのことです」


 沈黙。


「……そうか」


 椅子に座る男。


 リシェル・アルトレイン。


―分析―


「想定より早い」


「だが、誤差の範囲だ」


 冷静な声。


「原因は」


「内部崩壊」


「誘導されたものだな」


 机の上に資料を並べる。


「……ゼル・アークレイド」


 名前を口にする。


「やはり生きていたか」


―回想―


「この戦術なら勝てる」


 リシェルが言う。


「魔獣の行動パターンは解析済み」


「この配置で確実に制圧可能だ」


「……無駄が多い」


 ゼルの一言。


「……は?」


「ここ」


「この動きはいらない」


「……理論上必要だ」


「不要だ」


 実戦。


 ゼルの動き。


 理論を“無視して”最適化される。


「……ありえない」


―現在―


「……例外」


 リシェルが呟く。


「理論外の存在」


「だから危険」


 迷いはない。


「排除対象だ」


―準備―


「迎撃準備を開始する」


「魔法陣を三重展開」


「侵入経路はすべて遮断」


「情報網を強化」


 次々と指示が飛ぶ。


「……完璧に詰める」


 静かな声。


―ゼル側―


「……ここか」


 ゼルが王都を見上げる。


「はい」


 リリアが頷く。


「リシェル・アルトレイン」


「王国最高峰の魔導士」


「そして」


「戦術の天才です」


「……そうか」


 興味は薄い。


「強いか」


「正面では危険です」


「……」


 わずかな間。


「なら」


「正面には行かない」


 淡々とした答え。


―締め―


 知略には、知略で。


 だが。


 それでもなお。


 越えられない差がある。


 それを証明する戦いが。


 今、始まる。



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