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第20話 連鎖する離反

―騎士団本部・朝―


「本日の任務配置を通達する」


 ガルドの声が響く。


「各班は指定通りに動け」


「……」


 返事が、弱い。


「……聞こえなかったか」


「了解!」


 遅れて揃う。


 それだけで分かる。


 “ズレている”。


―配置開始―


「北班、移動開始」


「南班、準備完了」


「中央――」


「……隊長?」


「一名、未到着です」


「……誰だ」


「第三班、二名」


 沈黙。


「……どこへ行った」


「不明です」


―ざわめき―


「……またか」


「昨日も一人抜けてたよな」


「……増えてる」


 小さな声。


 だが、誰も否定しない。


―ガルド―


「……勝手な行動は許さん」


 低く言う。


「戻ったら処罰する」


「規律を乱すな」


「……」


 返事はある。


 だが。


 響かない。


―任務中―


「北、異常なし」


「南も問題なし」


「中央――」


「……人手が足りません」


「補填できるか?」


「……厳しいです」


 小さな遅れ。


 だがそれが積み重なる。


―接触―


「魔獣接近!」


「数は少ない!」


「迎撃する!」


 構える。


 だが。


「……薄い」


 前衛が足りない。


「カバー遅れる!」


「後衛、前に出ろ!」


 一瞬の迷い。


 その間に。


「っ……!」


 魔獣が踏み込む。


「ぐあっ!」


 倒れる。


「撤退ライン維持!」


 なんとか押し返す。


 だが。


―結果―


「……軽傷三名」


「また増えたな」


 誰かが呟く。


「……ああ」


 もう隠さない。


―帰還後―


「……報告しろ」


 ガルドが言う。


「軽傷三名」


「任務は達成」


「……未到着の者は?」


「……まだ戻っていません」


 沈黙。


―空気の崩壊―


「……正直に言う」


 一人の騎士が口を開く。


「このままじゃ持たない」


「……」


「誰の指示か分からない状態で」


「戦えない」


 明確な不満。


 誰も止めない。


―ガルドの反応―


「……黙れ」


 低い声。


「任務は達成されている」


「結果がすべてだ」


「……」


 誰も納得していない。


 だが。


 もう言わない。


―ルーク―


「……」


 静かに見ている。


「(離反、拡大)」


 小さく呟く。


―ゼル側―


「いい」


 ゼルが言う。


「もう組織じゃない」


「はい」


「形だけです」


「次で」


 静かな声。


「壊す」


―締め―


 一人が離れる。


 二人が迷う。


 三人が疑う。


 そして。


 それは止まらない。


 騎士団はまだ存在している。


 だが。


 もう、同じ場所には立っていなかった。



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