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第17話 疑念の矛先

―騎士団本部・執務室―


「……座れ」


 ガルドが言う。


 対面に立つのはルーク。


「……はい」


 静かな空気。


「昨日の戦闘についてだ」


「お前の指示が重なった」


「はい」


「なぜだ」


 短い問い。


「最適と判断しました」


 即答。


「……俺の指示よりもか」


「状況に応じては」


 わずかな間。


「はい」


 空気が冷える。


―圧力―


「……お前は誰の部下だ」


「騎士団の一員です」


 答えをずらす。


「違う」


 ガルドの声が低くなる。


「俺の部下だ」


 沈黙。


「……はい」


 返事はある。


 だが。


 “従属”だけで。


 “忠誠”がない。


―疑念確定―


「……お前」


 ガルドが言葉を止める。


「……何か隠しているな」


 初めての断言。


「……」


 ルークは否定しない。


 肯定もしない。


 ただ沈黙。


 それだけで十分だった。


―外―


「……どうなってるんだ」


 騎士たちが小声で話す。


「最近、完全に分かれてるぞ」


「ガルド様派と」


「副官派みたいな感じで」


「……やめろ」


「聞かれたらまずい」


 だが。


 もう止まらない。


―ガルドの内心―


「……ルークが原因か」


 初めて思う。


「いや……」


「本当にそうか?」


 違和感。


 だが。


「……一番おかしいのはあいつだ」


 思考が収束する。


「……なら」


 目が細くなる。


「潰せばいい」


―決断―


「……監視をつけろ」


 ガルドが命じる。


「ルークの行動をすべて記録しろ」


「不審な動きがあれば報告だ」


「はっ」


 騎士が動く。


―ルーク―


「……」


 廊下を歩く。


 視線が一瞬だけ動く。


 監視の気配。


「(問題なし)」


 小さく呟く。


「(すべて計画通り)」


―ゼル側―


「……いい」


 ゼルが呟く。


「疑いは“敵”を作る」


「はい」


「内部で標的が生まれました」


「次だ」


「対立を表に出す」


 静かな声。


―締め―


 疑念は形を持つ。


 そして。


 その矛先は。


 確実に、一人へと向かっていた。



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