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裏切られた俺だけが覚醒した 《契約支配(ドミネーション・コントラクト)》 ――奪われたすべてを、奪い返す 〜今さら謝ってももう遅い〜  作者: 竜太郎


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第15話 積み重なる齟齬

―辺境都市・警備詰所―


「本日の巡回は三班に分ける」


 隊長が指示を出す。


「中央は固定」


「北と南で挟み込む形だ」


「了解」


 地図に沿って配置が決まる。


 合理的。


 問題はない。


 ――はずだった。


「……確認ですが」


 別の騎士が手を挙げる。


「昨日の件を踏まえるなら」


「分散より集中の方が安全では?」


「……副官からも同様の提案が来ている」


 ざわり。


「なら変更するか?」


「……いや」


「ガルド様の基本方針は維持する」


「……」


 納得しきれない空気。


―巡回中―


「中央、異常なし」


「北も問題なし」


「南も――」


 報告は順調。


 だが。


「……まただな」


 小さく呟く声。


「連携が微妙に遅れる」


「……ああ」


「昨日と同じだ」


 同じズレ。


 同じ違和感。


―突発事象―


「前方に魔獣一体!」


「単体だ、問題ない!」


 騎士が構える。


「前衛で押さえろ!」


「後衛、支援――」


 一瞬の遅れ。


「……遅い!」


 魔獣が踏み込む。


「っ……!」


 衝撃。


「軽傷だ!」


「押し返せ!」


 すぐに制圧。


 被害は軽微。


 だが。


―沈黙―


「……またか」


「……ああ」


 誰かが言う。


「“またズレた”」


 否定する声はない。


―騎士団本部―


「本日の報告です」


「軽傷二名」


「任務はすべて達成」


「問題なし」


 形式は完璧。


 だが。


―ガルド―


「……軽傷が増えている」


 低く呟く。


「昨日もだ」


「偶然か?」


 答えはない。


「……」


 拳がわずかに握られる。


―問い―


「なぜズレる」


 静かな声。


「原因は何だ」


 沈黙。


「……指示系統が二つあるからです」


 一人が言う。


「……誰のだ」


「……」


 言えない。


 だが全員が分かっている。


―初の苛立ち―


「……はっきり言え」


 ガルドの声が低くなる。


「誰の指示が混乱を招いている」


 空気が凍る。


「……」


 誰も答えない。


「……」


 ガルドの視線が、ゆっくりと動く。


「……ルーク」


「はい」


 静かな返事。


「お前の指示が原因か」


「一因ではあります」


 否定しない。


 その一言で。


 空気が変わる。


―不満の確信化―


「……やっぱりな」


 誰かが小さく呟く。


「最初からおかしかった」


 声は小さい。


 だが。


 もう隠れていない。


―ガルドの内心―


「……違う」


 ガルドが思う。


「ルークは正しい判断をしているだけだ」


「問題は……」


「俺か?」


 一瞬。


 思考が止まる。


「……違う」


 即座に否定。


「ありえない」


―ゼル側―


「いい」


 ゼルが呟く。


「確信に変わった」


「はい」


「“原因がある”と全員が認識しました」


「次で崩す」


 静かな声。


「もう一段、深く」


―締め―


 同じミスが繰り返される。


 同じ違和感が積み重なる。


 そして。


 それはもう。


 “偶然”では済まされなくなっていた。



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