6話 理沙のその3
理沙と話していてあっという間に1時間経っただろうか…昼休みの終わりのチャイムが鳴り…
タークは急がなければならなかった。
ターク「やっべ…次体育だ…」
理沙「あら…もう行ってしまうの?」
ターク「あぁ…次体育で着替えもあるから…」
そう言ってタークはソファーを立ち居間室のドアに
手を掛けた…が…
後ろから静かに手が伸びて自分の前に組まれる…。
ターク「んっ…?」
後ろからの柔らかな手と甘い香り…。
後ろから抱きしめられてるということに気付くのに
数秒かかった…。
理沙「私の為に…行かない事は出来ないの?」
理沙の声が耳元で聞こえる…。
ターク「いや…流石に先生にキレられる…体育の先生と不仲で…」
理沙「あら…そんなのどうとでもしてあげるわ…
だから…ね?一緒にもっと話して…?」
理沙の指が胸で円を書く。
彼女の声はずっと頭の中に響いていた…。
ターク「まぁ…少しなら…」
タークはゆっくりと振り向き再びソファーに座る。
理沙「ふふ…ありがと…」
気付いたら理沙はすぐ隣に座っていたし…脚に
手をかけてきていた…。
ターク「…(うっひょぉ…色っぺぇー…)」
タークはそんな理沙に対する反応に困りながらも
とにかくそこに残ることに決めた…。
それから数時間…
学校の終わりのチャイムが鳴り響く…。
理沙も満足したのか自然と微笑んでいた。
ターク「よし…俺はこれで…」
理沙「えぇ…そうね…ねぇ…ターク?」
理沙はゆっくりとした声でタークに話しかける。
ターク「ん?」
理沙「また来てくれるかしら?次は…良いことして
あげたいの…話に付き合ってくれたし…ね?」
ターク「絶対来る(下心はないと言いたい)」
今回の理沙は目が光っていなかった気がした。
…
それからゆっくりと昇降口付近を歩いていた…。
理沙との会話と出来事…全てが頭を回っていた…少し
疲れているような?癒されたような?
???「おい…」
そんな感覚に戸惑っていると後ろから声をかけられる…。
ターク「ん?」
体育先生「ターク…」
ターク「…(うっわ…やっべ…)」
体育の先生がゆっくりと近づいてくる…。
そして目の前に来てはタークの肩に手を置いて言う
体育先生「体調でも悪かったか?ターク…心配
したぞ…」
ターク「え?」
普段タークのような人間に厳しい体育の先生が
心配?
ターク「あ…あぁ…まぁ…全然…保健室に行くまでも…なくて…」
体育先生「そうかそうか…お前は元気が一番だ…
さ…気を付けて帰れよ…」
そういって体育の先生は背を向けて校舎に戻っていく…。
タークにとっては奇妙な体験だった…。
あの体育の先生が?という気持ちともう一つ…。
体育の先生が向かったあと…二階の教室の窓から
外にいるタークに見える位置に…理沙がいた…。
そして理沙はただタークにウィンクをしてはどこかに行ってしまう。
ターク「……」
タークは考える…。
X^n + Y^n ≠ Z^n…
Σ1/n=∞…
∫e^(-x^2)dx=√π…
Γ(1/2)=√π…
ターク「ラッキー…」
次回からお馬鹿な後輩の華ちゃん編!