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妖忌妃~Act.4 そして始まる物語/1

 永遠に夜が明けることの無い、その世界。そこは妖になれず、此岸にたどり着くことも出来ない魂魄たちが目的を持たずに彷徨った果てに行き着く場所―――冥界と呼ばれていた。その場所には、ひときわ目立つ巨大な楼閣がある。その楼閣の主、冥界の姫はその刹那に起こった全てを見通していた。

 その日は雪が降り、空は曇って変に明るい夜だった。戯れにと覗いていた人間たちの世界に、一つ、嫌な気配を感じたのだ。気になってその場所を見ると、そこには異常なまでに高まった妖気。

「―――これ、は。面白いことになりそうね」

 姫はそう呟いて、振り返る。そこにいるのは、彼女の護衛役である少女。その腕には少女の細腕で扱うには大きすぎる程の大刀を抱えている。

「正宗丸、あなたに命じるわ。あの妖怪―――妖忌妃を捕らえなさい」

 正宗丸と呼ばれた少女は、黙ったまま一礼して部屋を出る。その姿を見つめ、冥界の姫―――桜は不敵に笑った。

「原初の妖怪。―――最強の妖怪『妖術王』・・・必ず、あなたを手に入れるわ」

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