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竹取妖呪~Act.3 月と物の怪/1

 太古の昔から、月には兎が住んでいるという伝承がある。しかし、本当はそうじゃない。兎以外にも、たくさんの生命がある。ただそれは人間には見えない場所にある。一生、人間には見つけ出すことはできない場所に。

 優れた文化と技術を持ち繁栄を極めた月。その発展は生命の根源にまで到達を始めていた。不死の技術。医療の発展に伴い、あらゆる病を治療する技術と老化を食い止める知識を得た彼らは、いつしか生命としての意味を失った。種としての繁栄と新たな生命の誕生をやめた月の人類は、そうして堕人という妖になった。生きておらず、ただ活動するだけの存在。それらを治療する術は、月にすら存在しなかった。月の民全てが堕人となれば、月は滅ぶ。それを恐れた堕人になることなく生き残った月の民たちは、一つの計画を実行する。

『竹取構想』

 堕人となった月の民を月の外に捨て、永遠に不死の技術を封印するというその計画は、誤って月の外へ落ちてしまった月の民を連れ戻すという名目で実行された。月の隣にあるその星を調査し、同胞を連れ戻す。堕人たちは月の民にそう言いくるめられて、その星へ連れて行かれる―――『星送り』となったのである。そして、その全ての堕人を捨て終えると、月の民は最後に同胞である月の民を回収し、その際に最後の不死の秘薬を星の住民に与えた。それで、この竹取構想は終わるはずだった。

 月には、竹取構想に異を唱える者たちがいた。それが、堕人とならなかった不死の民である。彼らは竹取構想の標的とならずプロジェクトが終わるまでは、協力関係であると言われていたものの、その後の存在と立場は保証されていなかった。

 そのため彼らは竹取構想の最後に切り札となる存在を用意したのである。それが、彼女「かぐや姫」だ。不使者たちは月の民に代わって月の使者として地上に降り、その時、地上の者たちに与えるようにと言われていた不死の秘薬を少しだけ、彼女にも与えたのである。

 彼女は月に帰ると、竹取構想の英雄として讃えられ、月で大いなる地位を獲た。月の民は、彼女が不死になっているとは知らずに彼女を姫として祭り上げたのだ。

 しかし不死となった以上、いつかはそれが発覚する。月の民たちは、姫が不死になったことに気付き、彼女を殺そうと軍を送る。しかし、死ぬことのない彼女を誰一人として殺すことは出来ず、軍は彼女を捕らえ、不死者を一掃すべく立ち上がった。長きに渡る、不死戦争の始まりである。

 月はあらゆる技術を使い、不死者を殺す術を模索した。しかし、結局それは見つからず、不死者の反撃に遭い月の民たちは成す術なく敗北する。それ以後、月は不死者によって支配された。だが、そこに一つ、欠陥が生じたのである。

 ある日、不死の人間が死んだのである。

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