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桜散花~あとがき地獄/2

二人、どこか謎の舞台に立ち、緊張した面持ちで本番開始を待っている。

不意に本番スタートし、スポットライトで照らされる。正宗丸、焦りながら喋り始める。

正宗「正宗丸と」

サク「サクラの」

二人「あとがき地獄~っ!!」


あとがき地獄――第二章「桜散花~Eternal cherry blossom」

 あとがき小説です。

 ストーリーとは関係ないので別に読まなくても問題ありません。

正宗「って、前半も後半も始まり方一緒ですかっ!」


サク「まあ、いいんじゃないの? あの犬もアイデアが無いのよ」


いぬ「どうも、呼ばれてないけど犬兎です―――アイデアが無いんではないよ。いいか、正宗丸・・・これを『天丼』という」


正宗「笑いどころを繰り返し用いるのを『天丼』というのです。笑いが取れないようじゃただの使い回しですよ」


いぬ「う、手厳しい」


サク「まあまあ、二人とも無駄話はそれくらいにしておきなさい。じゃあ、次は私の冥界での暮らしについて説明ね」


サク「冥界はみんなも知っての通り、あらゆるものの魂が流れ着く場所よ。本来、肉体から離れていった魂は地獄に行って審判を受けるのだけど、この世に残り続けたいと願う魂は、地獄への誘いを振り切ることが出来る。しかし、そうなってしまうと地上には魂が溢れ、今生きている生命の存在を脅かすわ。そこで存在するのが冥界よ。現世に残る魂を冥界蝶によって強制的に引き込み、管理するの」


正宗「現世に存在する魂の量は一定でなくてはならないのがルールです。その数値を見定め足りない時は魂を現世に送り、多い時は魂を冥界に連れ戻す。それが冥界の役目ですね」


いぬ「そんなことは本編でも説明したよ、ウチが聞きたいのはどうして霊冥姫が冥界の管理を任されているのかだよ」


サク「かわいくないわね、あなた。―――コホン。私が死んでから約千年の間、私が霊冥姫と呼ばれこの冥界を管理するようになったのは実はつい三百年前くらいの話よ。私は彷徨っていた期間が長かったからね、死んでから二百年くらいはただの魂だったし。妖になってからまだ八百年くらいしか経っていないの。五大妖の中でも最も若いわね」


いぬ「それでも十分BBAだけどな」


サク「なんか言った?」


いぬ「いいえ、ウチは何にも言ってませんぜ」


サク「五大妖は全ての五大妖からの承認を得るか、もしくは五大妖が死亡した際に最も力の強い妖が五大妖になれるの。私の場合は後者ね。四百年前に起こった冥界の戦争『冥王戦争』の際に当時の冥界の管理者、冥王と相打ちになって死亡した『死神姫』の跡を継いだのよ」


正宗「その冥王戦争ってなんなのですか?」


サク「一言で言うなら、冥王が冥界を支配して悪さをしようと企んだから、地獄の死神たちが冥王を討伐しに来たのよ」


いぬ「冥界の魂を全て現世に送り込めば、現世の生命全てが死亡する。それ故に冥界はあらゆる妖から恐れられているのさ」


サク「そう。私は死神姫と仲良しだったからね。冥王を裏切って死神と一緒に戦っていたわ。それに、あの頃の冥王はちょっとおかしかったしね。そろそろ冥界の管理人は引退すべきじゃないかと思ってたのよ」


正宗「で、その戦いは死神が勝利し、死亡した死神姫に代わって主上が五大妖の名を受け継いだと」


サク「そういうこと。でもね、冥王を失った冥界は酷いものだったわ。百年余りに渡る戦乱に蝶は死に、魂を集めるものは何もかも壊されてしまった。放っておけば、魂はすぐに現世に戻ってしまい、状況は冥王が望んだものになりかけていた」


いぬ「そこで作り上げたのが、万年桜だよん」


サク「私の妖怪としての始まりは、正宗丸と同じ、物憑きだったの。桜の木に取り付いた妖怪。当時は桜妖怪なんて呼ばれていたわ。冥王戦争の途中で、魂魄へと昇華した私は以前まで取り付いていた桜の木を現世から冥界に運び、そこに、冥界に生き残っていた全ての蝶と魂を放り込んだ。すると、桜はその魂と蝶を取り込んで妖となり、魂を集めてその力を吸い取って冥界の蝶を生みながら成長する性質を持つ巨大な妖桜となった」


正宗「では、正確に言えば主上と万年桜は同じではないということですか?」


サク「そう、違うわ。でもね、あの桜は私と義高さまの約束の樹。魂魄になったとはいえ、あそこから私は離れられないの。そして桜もそのことを知ってか、私に力を貸してくれる。私が冥界の蝶を操れるのも、あの桜のおかげよ」


サク「ま、そんなんだから私は自由に出来るのよ。万年桜が勝手に働いてくれるし、私は自由気ままに桜花亭で自分の好きな魂を愛でて生活しているわ」


正宗「一番大事なトコを一言で終わらせたっ!?」


いぬ「いやいや、間違ってはいないよん。この人は案外だらしないのさ。平安時代の貴族とは思えませんな」


サク「あら、案外どこもこんなものよ? あなたたちが貴族に優雅でおしゃれなイメージを持っているだけじゃなくて?」


サク「私は居間でテレビ見ながら煎餅でも食べてるのがいいのよ。今はそれが一番幸せ」


正宗「主上・・・」


いぬ「さて、オチもついたところで。今回のあとがき地獄はここまで」


正宗「第三章の執筆が軌道に乗らなかったら、またお会いしましょう」


二人「では、最後に次回予告です。ばいばぁい!」





 第二回あとがき地獄――第二章「桜散花~Eternal cherry blossom」/了






次回予告




「―――いや、ホントおかしいねぇ・・・」

 瓢箪片手に、酒を飲む鎌を携えた女性。

「あんたもそう思わないかい?」



 そこは、生と死を別つ場所。



「私は生と死を操る妖、死神さ」

 それは、行く末を船頭に任せ、自らの在り様を検める場所。

「ここいらじゃ、死神小町って呼ばれてる」

 そして、死した人が最後に渡る、川。

「丁度今日は暇してるんだ。この小町さまが死神について少し教えてやろう」




次回、妖紀行~Border of strange番外編。


「臨死此岸~Corpse river」


此岸に迷い込んだ御伽と、そこで働く死神の物語。

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