桜散花~あとがき地獄/1
二人、どこか謎の舞台に立ち、緊張した面持ちで本番開始を待っている。
不意に本番スタートし、スポットライトで照らされる。正宗丸、焦りながら喋り始める。
正宗丸(以下:正宗)「ま、正宗丸と」
サクラ(以下:サク)「サクラの」
二人「あとがき地獄~っ!!」
あとがき地獄――第二章「桜散花~Eternal cherry blossom」
あとがき小説です。
ストーリーとは関係ないので別に読まなくても問題ありません。
正宗「はい、今回もありましたね、あとがき地獄。今回は、第二章のあとがきということで、私と主上サクラ様がお送りします」
サク「本編で語られなかったことを補足する形で、解説していくわよ」
いぬ「どうも、呼ばれてないけど犬兎です」
サク「あら、かわいい犬ね。どう? 私の屋敷で一緒に暮らさない?」
いぬ「それはいらない。骨の髄までしゃぶりつくされそうだ」
正宗「あはは・・・」
サク「本編中で出てきたくせに、解説の無かったものって結構多かったわね」
正宗「ええまあ、私のことに関しては一切説明ありませんでしたしね」
いぬ「それは最初っからないので無視」
正宗「・・・うう」
サク「まあまあ、今回は、鬼と鬼道。そして私の冥界での暮らしについて解説していくわ」
タカヤ(以下:高野)「鬼のことに関しては私から説明しましょうか」
いぬ「うんうんタカヤん、任せたぞ」
高野「その呼び方は止めてください。―――鬼とは、人間妖怪の一種で、人間とは違い、頭に角のような骨が生えるのが特徴ですね。まあこの角は人間社会に溶け込むために切ってしまうのですが、この角はすり潰して粉にすると妖の薬になるという珍しいものでして、千年前くらいに妖や人間によって乱獲され、鬼はすでに絶滅危惧種となっています」
サク「あの角、苦いのよね。私も冥王戦争の時に飲まされたけど、もう飲みたくないわ」
正宗「人間の鬼討伐の歴史は古くからありますよね。やはり鬼を倒すということは人間が自らの力を誇示する最も分かりやすい指標だったのでしょう」
高野「まあ、そうでしょうね。それ故に、現代まで生き残っている鬼の強さは五大妖に匹敵するレベルに達しています。ムツキは、ちょっと修行不足ですけど」
サク「で、あの鬼道とかいう能力って一体なんなの?」
高野「角以外の人間と鬼の違い、とでも言えばいいでしょうか。心臓の鼓動を自分の手足と同じような感覚で自由に遅めたり速めたり出来るのです」
いぬ「そう、それ故に鬼の能力は全員同じく『鬼道』なのさ」
高野「鬼の血は空気に触れるだけで発火してしまうほど強い燃焼力を持った液体です。この血液の循環を意図的に操作して速める事で体の中で高熱を発生させ、循環させる力。それが鬼道です。心臓に強烈な負荷がかかりますが、身体能力の強化と特殊能力の開放を行うことが出来ます」
正宗「あの爆発するパンチや火の玉ですね」
高野「鬼道・第二『鬼道拳』と鬼道・第三『鬼道玉』ですね。鬼道はこのように第一、第二、第三と段階があり、その段階によって開放できる能力が違います。数字が大きくなればなるほど強いですね。身体能力もそれに比例して上がっていきます。鬼道は全部で十六門存在し、一つめから八つめまでを第、九以降を門と呼びます。私でもいまだ十門までしか開放できません。ムツキの場合は第四止まりですね」
正宗「確か、最後に使った鬼道が第六、でしたっけ?」
高野「ええ、ですが開いた鬼道の能力は全て使用できますので、十門を開放していても第三『鬼道玉』を使用するようなことも可能です。私は戦闘時には常に第七まで開放しています」
サク「つまり、あれはまだ本気じゃないってことね」
高野「そうなりますね。ですが、あなたもそれは同じことでしょう?」
サク「あら、ばれていたのね。負傷していなかったらあなたなんて一瞬で潰して見せるわ」
いぬ「はいはい、長話はそれまでよ。あとがき地獄、後半へ続くっ!」