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どんぐりのどんぐりさんのお話集  作者: kanameホワイト
1/1

どんぐりのどんぐりさん、パッパーノのさんに出会うの巻

ここは、丘の上にぽつんとあるブナの木。

その木には「どんぐりのどんぐりさん」という「どんぐりの妖精」が住んでいました。


木の中に住んでいるのかというと、そうではなく。


木の根本に小さなレンガのお家を他の妖精に建ててもらい、住んでいるのです。


さて、どんぐりのどんぐりさんの家にはいろんなお客さんが訪ねてくるのですが、今回はどんな方が……


トントントン


木の扉を叩く音でどんぐりのどんぐりさんが本から顔を上げましたよ。


「はーい、どちら様ですか?」


緑の帽子に細長い顔、目はまん丸。

着ている服の色は暖かいお日様色。

ズボンは空の色。


そのどんぐりのどんぐりさんが、さらに目をまん丸にしている理由とは。


大きな大きなカバンが立っていたのです。


そしてこう言いました。

「素敵な茶器が手に入ったので、良かったら一緒にお茶でもいかがですか?」


そう言うと

カバンをよいしょ。

そして顔が見えました。


なんと、カバンのお化けではなく、丸いメガネをかけていて、ヒゲがおしゃれな葉っぱの妖精さんです。


「おやおや、もしかして 春バールさんのお知り合いですか?」

どんぐりのどんぐりさんがさらに目を丸くしてたずねると

「はい、春バールからあなたの話をきいてやって来ました」

とにっこり顔の葉っぱの妖精さん。


ちょうどその時、オーブンがチーンと音を出しました。


「焼き菓子もできたので、どうぞ中へ」

お茶が大好きなどんぐりのどんぐりさんは常に何かお菓子を焼いているようですね。


「おじゃましますよ」


家の中は、木の香りとお茶の香りと焼き菓子の香りでいっぱいです。


テーブルには本とティーカップ。

テーブルにかけてある布は色んな色を付け足して縫ったパッチワーク。

木の丸い背もたれ付きの椅子が2つあり、その片方に葉っぱの妖精さんを座らせると


お湯を沸かしに台所へ向かいました。


その間にも葉っぱの妖精さんは喋りつづけていました。


「これはこれは、自己紹介がまだでしたな。

わたくし、パッパーノと申します。以後お見知りおきを」


「これはどうもご丁寧に。どんぐりのどんぐりです」

手にクッキーを入れたお皿を持ちながら軽く会釈をするどんぐりのどんぐりさん。


パッパーノのさんがカバンから花柄で縁が金色に輝くカップを出しています。


「なんと素敵なカップでしょうか。これは花のお茶が似合いますね」

どんぐりのどんぐりさんの目がキラキラと輝いています。

「そうなのです、そうなのですよ」


2人はしばしカップを眺めて話し込んでいました。


すると

ぴーーーーー。

というヤカンの音。

「おっといけない」

慌ててどんぐりのどんぐりさんが台所に向かいます。


すこしの間、部屋はシーンとしていました。パッパーノのさんもどんぐりのどんぐりさんも、紅茶を入れる音と風のさわさわする音が心地よく黙っていたようです。


そして2人はお茶とクッキーを食べながら、また話をして夜もふけた頃。


「では、またお会いしましょう」

どんぐりのどんぐりさんがお土産にとクッキーの詰め合わせた瓶を渡すと

「はい、またお会いしましょう」

パッパーノのさんがカバンをよいしょっと持ち上げて丘を降りて行きます。


部屋に戻ったどんぐりのどんぐりさん。

本をそっと開くと読みはじめました。


次はどんな出会いがあるのでしょうか。


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