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VGOO(ボーゴ)〜嘘の導く並行世界渡航〜  作者: 喫痄
流転・徐羅一判編
17/59

#3 蠱惑する仮面(陽)

【前回までのあらすじ】

牙隈岼果の父が殺害された未解決の「ミライパーク事件」とその関連が噂される「編綴コード」の謎を解き明かすため、一判はクラスに向けた嘘として「事件の犯人は既に逮捕されている」と語っただけでなく、ノアの母・ゲルトラウトには「ノアが編綴コードの存在を知っている」と語ってそれぞれで過去改変を起こした。

その直後、一判の勤める小学校を訪れたのは渥美寧。寧は事件のあったミライパークの系列である「日刊大宝」の記者だった。個人的な興味で事件のことを探っていると説明し、事件の犯人が逮捕に至った原因である匿名の通報者の正体について、一判にその疑いをかけた。

「凄い!」


 その後、一判(いちばん)岼果(ゆりか)からの着信に応じていた。

 岼果は、丁度先程まで話していた(あつ)()(ねい)について触れると、歓喜混じりに驚いた声色で相槌(あいづち)を打っている。

 一方の一判は、表面上普段通りの応対に努めていたものの、胸中は鬱積(うっせき)に満ちていた。

 それは、結局なんの過去改変もなかったかのように岼果がこちらへ接触してきたという事実に関してだ。結局犯人が明らかになってもなお謎が残されているという意味では、帰りの会で岼果との関係が変わらなかったことは理解できる。ただ、岼果を遠ざける可能性なら、寧に対して放った嘘もまた孕んでいたもののはずだ。

 つまり――予想通りではあるが――先程の会話を通して、寧がこちらの話をまるで信用していなかったことが確定したのだ。


「何を企んでいるか分からない人だ。話していたら警戒心しか抱きようがないけどね」


「それでも、情報は聞き出せるだけ聞き出さないと!先生、その人を絶対に取り逃がしちゃダメですよ!」


「う、うん」


 一判は、スターである岼果との感性の違いを実感させられていた。ポジティブに考えれば、これ以上の好機はない。現状の自分には守るべき情報など本当に何も握っていないのだから、強気でいくべきだという考えも理解はできる。


「で、そっちの要件は何なの?俺は気をつけろって意味で渥美さんの話も出したんだけど」


「はい、お渡ししたいものがあって。今チャットで送るので」


 一判は耳からスマートフォンを離して画面を見る。

 岼果が送りつけてきたのは、ミライパークの電子チケットだった。


「まさか、一緒に行こうとか言わないよな」


「いいえ、言います」


「はぁ……」


「今度のお休みの日に、こっそり行きましょう?いつの時代もこういうのは現場主義でしょ?まあ流石に、事件の痕跡は残ってないと思いますけど」


「いくらなんでもそれは駄目なんだよ!万が一ウチの生徒や父兄に見られたらどうすんの!」


「大丈夫ですよ、私が変装すれば普通にまあ――恋人かなと思われるくらいですよ?」


「大体、俺が良くても君が良くないだろ?追っかけられてたら変装なんかしてても撮られる恐れはあるし。何より5年前の記憶があるのに、平常心を保てる?」


「……保てはしないと思いますけど、だからこそ行くんです!それで、その渥美さんって記者の人にも負けたくない」


「負けたくないって……?同じ謎を追うなら、争うことなんて無いだろ?」


「そんなことありません。前も言いましたけど、私は自分の力で、先生と事件の真相を突き止めたいんです。先生、渥美さんに何か協力してもらうつもりなんですよね」


「まあ。頼みたいこともあったからさ」


「このままじゃ、私は何も貢献できないまま事件が終わってしまいそうで。それだけは嫌なんです。分かるでしょう?あの日も、私はお父さんと同じゴンドラの中にいたのに何もできなかった」


 力強い語気に、一判は電話越しに圧倒される。

 ――「分かるでしょう?」、か。

 確かにそうだった。岼果は今でも、5年前に味わった無力感を引き()っているのだと言う。それは、傷心した岼果へと何も施せなかった一判が抱えていた後悔と全く同じだ。


「もう陽の落ちかけていたあのとき、突然ガスが観覧車のゴンドラに充満して、(おぼろ)げな犯人の影は真っ暗な空中へ消えていった……。それは忘れてしまいたい記憶です。でも、私にとってはあの日がお父さんとの最後の記憶なんですよ。ミライパークは楽しい場所だし、事件とは切り離して大事にしておきたい思い出が沢山ある。だから、これ以上辛い記憶に振り回されないためにも、ミライパークのことは別の体験で上書きしたいって前から思ってたんです。それで、私自身その勇気が出せる相手は先生しかいないなって思ったんです」


 岼果は真っ直ぐにこちらを見上げてくる。


「分かった、行くよ。観覧車を中心に、軽く通るだけね」


「本当ですか!?良かった……!」


 まもなく2人は通話を終える。ミライパークへ行く予定は今週末になる。

 先ほどの岼果はその口調からも、眼差しからも、一種の強い感情が滲み出ているのが伝わってきた。一方で一判は、紛いなりにも教師として、言語化能力に優れていない児童の言動を大まかに解釈することに慣れていた。

 つまり、それほど人の気持ちに鈍感なわけではないということだ。今回の彼女の態度の機微から、彼女の“真意”がどうであるか見抜くことができた。だからこそ、一判はこの“デート”を承諾することにした。



 それはそれとして、問題になるのは寧が語った匿名の“目撃者”について。

 一判は頭の中で先刻までの寧とのやり取りを反芻(はんすう)していた。


「――あ、驚きました?ごめんなさい、ただ先生にもその可能性がある、と言いたくてですね」


 あの後寧は、自身へと向けられた疑いに只管(ひたすら)たじろいでいた一判を見てくすりと笑った。


「私を疑う以前に、それほどまでに重要な人間なんですか?その通報者というのは」


「犯人と被害者の接点に接点が見られずその手口は並外れたものとなれば、背後に彼を“買った”人間がいると見るべきでしょう。私、もしかしたら彼はこの事件における“避雷針”だったのかも、とも考えているんですよ。だって実行犯さえ明らかになれば、捜査の手は黒幕の想定内に収まるでしょう?」


「その通報者が黒幕自身だと?殺し屋を裏切ったって言うんですか?」


「まあ、変かもしれませんね。可能性のひとつですよ。ただ通報する上で敢えて匿名を選択したその人は、確実にこの事件の“意味”を理解しています。私の興味は何よりもそこなんですよ」


「それで、何故その疑いが私にあると?」


「通報があったのは一昨年の暮れです。私があらゆる手段を用いてその正体を絞り込んだ結果、その人間がこの学校の関係者であると突き止めました。一昨年――と言うと、もう先生もこの学校には赴任されていますよね?」


「……よくご存知で」


 この寧という女性は唐突に姿を現したように見えて、先んじて膨大な量の調査を済ませて自分の目の前に対峙しているのだと、一判はこのタイミングにして痛感していた。寧に対して軽はずみな嘘は通用しないと見るべきだ、と。


「先日のハッキングで今年度の春も、防犯システムが通報者の入場を記録したことを突き止めました。貴方が自らの関与を否定したいのならば、それが誰なのか特定するのにお手伝い頂きたいんですが……」


「……わかりました。ただ正直忙しい身分なので、ある程度こちらの()()にも協力していただけるのなら――」


 そうして一判は半ば強制された形で彼女の提案を受け入れた。

 寧が本心で一判を疑っているのかは定かではないが、調査をする上で一判を適役と判断したことの方は間違っていない。彼女も彼女なりの調査で、「入場記録」の意味を漠然と理解しているのだろう。

 この小学校にはICチップの有無で関係者か否かを判断する防犯システムが設置されているが、年長の教諭を中心にチップの常時携帯が定着せず、平時においては省略されていると言っていい。システムが起動されているのは、部外者が入り込みやすい学校行事の時期。そうなれば候補は2年前から現在に至るまでこの学校に在籍する職員・3〜6年の生徒だけではない。該当する()()()()()()もそこに含まれるということだ。

 そしてその中のひとりである(やお)()一判への疑惑を、一判は自分で否定することができない。改変を起こした今、自身の過去は既に記憶と異なったものへと変化している。「ミライパーク事件」との距離感を考えれば、むしろ最も有力な考察と言えるだろう。



 「――他には特にいいたいことはないかな?じゃあ最後に、先生から連絡事項をいくつか」


 次の日、“終わりの会”が済んだところで、一判は手を叩いて生徒の関心を引く。調査の上で最も状況を操作できるのは、事件とは原則関係のないこの場だ。あくまでもこの場で話すことが合理的にさえ見せられれば、話自体には多少の無茶も効く。そういう意味では、事件の関係者が生徒の保護者かもしれないという条件は好都合に思える部分だ。


「架殻木さん、いいかな」


 一判はノアの名を若干深刻な語気で呼ぶ。頬杖をついて“終わりの会”を聞き流していたノアは、大袈裟に体を震わせて驚いた。


「前に『編綴(へんてつ)コード』がどうだってみんなに呼びかけてたよね。少し考えたんだけど、やっぱりああいう他人を怖がらせる話は好きじゃないなと思った。狼少年の話は知ってる?ああいうことを繰り返したら、いざというとき、誰にも信用してもらえなくなるよ?」


「はあ?先生、前は信じるって言ってくれたじゃん!嘘つきはどっちだよ!」


「でもさ、客観的に見て信じられる証拠が足りないんだよ。そんなに言うのなら、どんな話だったかもう一度話してくれる?」


 ノアが知る「編綴コード」が何か、改変の影響を受けていない一判本人は聞かされていない状況だ。当然、あの嘘が影響して「ミライパーク事件」の通報者をこの学校の関係者まで引き寄せた可能性はある。


「別に。あんなの、ただの思いつきだよ。先生も思ったより馬鹿正直じゃないってことだね」


「お、おま……!」


 飄々(ひょうひょう)と嘘を宣言するノアに一判は怒りが込み上げそうになったが、踏みとどまる。自分の能力を信じれば、この発言こそが嘘だ。ノアが何かを知っているというニュアンスをゲルトラウトへ伝えた以上、彼女は性格上その通りに信じるはずだ。“ゲルトラウトがそれを嘘だと確信していない限り”――ではあるが。

 この状況で、いくらクラスを味方につけてもノアの気持ちを変えられなければ、こちらから嘘をついても変化はない。これを踏まえて一判が口にしたのは、単純な推測だった。


「誰かに聞かされたのか?問いただされたとしても自分でも詳しいことはわからない、じゃあ説得力ないもんな」


「違う!全部自分で考えた!それだけは本当だよ!俺が自分で情報を掴んだんだ!」


 確かに今、ノアは早とちりをしたようだ。彼なりに、誰かの存在を隠したいということ。「編綴コード」の事例が狼少年そのものだったとすれば、その情報を皆に訴えさせたのは、ノア自身の危機感に他ならない。

 そうであるにも関わらず、事実を保証できる他人を隠す理由があるとすれば――“庇護”、といったところだろう。


「いや。悪いけど、これは()()()()()()()()()()()()()()()()()ことなんだ。話を聞いたのは、クラスメイトだね」


「違う!」


 顔を真っ赤にして否定するノア。事実関係が異なっていたとしても他の生徒の支持を利用して改変が起こるように話したが、これに関してはやはりその事実をも言い当ていたらしい。

 改変の雰囲気を察知した直後に、一判は生徒全体の表情の動きを確認し、この時点である程度の目星は付いた。今の話が嘘であることを唯一知っている“その生徒”は改変を逃れるだろうが、既に回収しているアンケートの内容さえ書き変わっていればいいので支障はない。内容に関しては後で確認する必要がある。


 それからの流れで臨む、自ら嗾けたはずの「保護者面談」。


涼霜壮(すずしもそう)の母、涼霜真友(まゆ)です。本日はよろしく――」


ゲルトラウトよりはずっと小柄で雰囲気も温和だが、その奥には彼女にも引けを取らない風格のようなものを感じさせる。


「本日はお忙しいところすみません」


「いえ、今日は休暇にしました。偶には母親らしいこともしませんと」


 涼霜真友は「CUSTER(カスター)」の社員で、若くして成功した生粋のエリートだ。「カスター」とは、現在の世界でも有数の規模を誇るNFT事業を展開する企業。現時点で「カスター」に比肩するのはディルクグループの「schat(スハット)」、あとは精々「ABY」の自動発行機能「wallaby(ワラビー)」くらいだろう。

 そして事件と保護者の関連を示唆されて以来、一判が最も疑いの目線を強めたのがこの真友。昨日から自分の担当外の生徒を含め、保護者の情報を寝る間も惜しんで調べているが、現状彼女より目を引く立場の人間はいない。

 「カスター」が発展した要因とは、マスメディアの情報の“規格”として定着したことであって、自ずと青蓮グループとも関係が深い。「編綴コード」にしても、動機となるような繋がりを持っている気がしてならなかった。


「どうですか?壮は」


「……そうですね。成績は優秀ですし、普段も社交的な子です。特に彼は、女子との付き合い方が上手な印象があります。やっぱりみんな基本的には男子同士・女子同士でグループを作るものですけど、変な意味もなく、女子のグループに気兼ねなく溶け込めるのは凄いなと。私でも同じ歳だった頃なら、あれはとても真似できません」


「あら、そこまで褒めて頂けるなんて。親としても鼻が高いですね」


「それで、事前にアンケートを取ったんですが――」


 一判はアンケート用紙を取り出す。昨日は夜通しで事件の調査に打ち込んでいたので、壮の提出したアンケートの内容へ目を通すのはこのときが初めてだった。


「中学は……進学校を受験されるんですね?」


「ええ。本人も警察官になるのが夢だと言っていますし」


「なるほど。――『最近変わったこと』という項目があるのですが、息子さん、ご家庭のことを書いているみたいですね」


 それは嘘ではない。一判は真友へ向けて容姿を見せた。「最近はお母さんが早く帰ってくることが多い」と記されている。それを見た真友は照れ臭そうに笑う。


「……恥ずかしい話、最近まではあまりに仕事漬けの毎日を送っていたものですから。今日もそうですが、もうあの子も小学校を卒業しますし、今のうちに親子で交流する時間も大事にしないとと思いまして」


「そう、ですか」


 一判は相槌を打ちつつ、釈然とはしていなかった。

 ただその違和感は嘘、というには些細すぎるものだ。こういった綺麗事は「建前」として日頃から耳にする。これもまた、敢えて追及する方が不自然な次元の物言いだろう。


 

「――こちらからお伝えすることは以上なので、何か質問があれば」


「そうですね……。学校での息子のことは私よりも先生の方が知っているでしょうし、先生から特に心配事がないのであれば、こちらが気を回すのも余計な気がします。家でも学校のことは話してくれる子ですし、何か学校や他の生徒に迷惑さえかけていなければ、こちらから言うことはありません」


「――そうですか。強いて言うなら、思慮深い一方で積極的ではないという部分でしょうか。何事も遠慮はしないで欲しいな、と」


「何でしょう?要領のいい子なので、叱って抑圧した覚えもないのですが……。まあ小学校とて立派な人間社会です、居心地の良し悪しもあるでしょうからね」


 (いち)労働者目線ではありがたいことこの上ないが、真友は落胆するどころか、まるで気に留める様子がない。自分や自分が腹を痛めて産んだ子について、よほど自信があるのだろうか。どちらかと言うと人当たりの良さが全面に出た壮の人柄と、その親族や環境が醸し出す威圧感の間には、心なしか齟齬に近いものを感じさせた。


「あの、他に伝達事項がなければこれで」


「あ、少し待ってください」


 傍のハンドバッグに手をかけた真友へ、一判は身を乗り出して声を掛ける。


「一応まだ予定時間は終わってませんし、もう少しだけいいですか?せっかくだから少しだけ個人的にご相談したい事もありまして」


「個人的に、ですか?」


「ええ。私、『カスター』に興味があって、もし良ければ涼霜さんに教えて頂きたいなと」


「別に構いませんが……投資ですか?客観的に見て、ウチは買い時ではないと思いますよ」


「それはそうかも……しれませんけど、NFTの中でも盤石だとよく聞くので、その理由のところを軽く解説して貰えると嬉しいです」


「はあ。『カスター』はアメリカが発祥で全世界のメディアに愛用されていますが、それは弊社がそれらの企業とは完全に隔離された第三者の立場にあること、独自の拡張子にのみNFT化を許していることが理由に挙げられます」


「独自の拡張子、とは?」


「画像にしても映像にしても、『カスター』専用の拡張子は専用のカメラが撮影したデータでしか取得する事が出来ません。昨今はネットを中心に精巧なディープフェイクが蔓延し、マスメディアでさえソースにブロックチェーンが無くては誤報が疑われます。この拡張子は外部ソフトでの編集や変換ができませんし、 NFT化に際してデータには日時や撮影場所などの情報も付与されます。記録用に特化しているからこそ、『カスター』が発行するNFTは“プロ仕様”として好まれるようになったんです」


 完全に外部の組織、とまで言われては(しょう)(れん)グループに限った「ミライパーク事件」との関係も疑いづらくなる。彼女が通報者だとしても、この直接の接触で隙を見せるとは思えない。その為、先程寧に伝えた作戦を(こしら)えたのだ。

 

 涼霜真友と直接話すことも叶ったので、一判は学校へ「外せない予定がある」と伝え、面談を途中で切り上げた。しかし、これは決して嘘ではなく、不測の改変をもたらすことはない。というのもつい先程、これは一判自身の操作によって既に嘘ではなくなっていた。一判の操作――それは寧にスパムメール用のアドレスを用意させて、自らの手で100名以上の学校関係者へショートメールを送信したことだ。

 「サク」が未来にてそうである通り、過去改変の発動は能力者主体の発信でさえあれば、直接の言霊でなくとも有効。その内容は、「本日の午後4時、服役中のジャレッド・ローチへあなたの名義で面会を申請した」という内容。ジャレッド・ローチとは、寧に教わった牙隈(きばくま)(きざ)()殺害の実行犯だ。


「――貴方は誰だ?」


 帰宅してすぐに、通訳アプリを通してジャレッドとの面会がオンラインで、記録員同席のもと開始される。一目見て根暗な青年であることは分かったが、彼の目は一判の姿を見た途端に鋭くなった。


「どういう意味かな。申請は行ったでしょ?それを君が承諾して、この面会は成立している。それが答え、だと思いますが」


 メールはジャレッドとの面会の予定を断定しているのではなく、「申請した」段階に留まっている。何の脈絡もなしにこのショートメールを見てそれが事実だと信じるのは、ジャレッド・ローチについて心当たりのある人間だけだ。そしてその人間が信じた通りに先日ジャレッドへ面会が申請されたとすれば、彼も同様に心当たりがあるに違いない。

 この手ならば怪しい人物を絞り込めるだけでなく、この通り「ミライパーク事件」の実行犯と接触する機会を一度の嘘で得ることができるということだ。

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