21:白熱のクラス対抗リレー
高校全体で行われる交流体育祭だけど、競うのは各学年ごとだ。
だからクラス対抗リレーも本当なら学年ごと全クラスで対戦するのがいいんだろうけど、当然ながらトラックのレーン数は限られている。
対してクラス数はといえば二年だけを見ても普通科だけで十五クラス、他の科も含めれば二十を超えてしまう。
というわけで、ここまでの競技で得たポイント数から8クラスずつグループ分けを行い、その中で争うことになっている。
優勝争いに食い込んだ僕ら二年A組は上位グループだから、走るのは二年の一番最後だ。
その待ち時間を利用して三十人三十一脚で溜まった疲労を解消するべく、僕らはレイア様たち出場選手にマッサージをしたり飲み物を用意したりと動き回る。
ミャルはといえば、癒し要因としてみんなにモフられ中だ。これは物欲しげなレイア様の視線に気付いたミャルが自ら言い出した事なのでルール違反にはならない。
アスモド君とミノレス君も遠慮しつつも差し出された腕をモフモフしていて嬉しそうだ。
こんなご褒美があるって知ってたら僕もリレーに立候補したのに。まあ、立候補したところで選ばれるわけがないけどな。
田中と一緒に羨ましそうに眺めるしか出来ないのが僕の現実だ。
「そろそろ時間だよ、レイア様」
「そう、分かったわ」
「みんニャ、頑張ってニャ! きっとウネウネ倒してニャ!」
「ああ、そういえば、ミャルさんちょっと」
疲れを取ってストレッチもしっかりして準備万端になったレイア様たち出場メンバーが、トラックへ出ていく。
去り際、レイア様がミャルを呼んで何事かを囁くと、ミャルはグッと拳を握りしめて「了解ニャ! 応援は任せるニャ!」と力強く言った。
レイア様もそんなに応援してほしかったんだなぁ。珍しい。
クラス対抗リレーに出るのは各クラス六人。
二年A組からは、レイア様と牛系宇宙人のミノレスくん、エンジェル星人のミカーリさんにデビル星人のアスモドくん、サッカー部と陸上部の地球人男子の二人が選ばれている。
暫定一位の二年B組からは橘も出るようで、トラックに下りたレイア様と早速睨み合ってるみたいだ。
観客席からは、それぞれスタート位置に向かうメンバーの姿がよく見えた。橘率いる二年B組もだけど他のクラスも宇宙人を多く選出している。
これは単純に地球人より宇宙人のほうが運動能力が上になりがちというのもあるけれど、クラス対抗リレーも三十人三十一脚と同じく、きちんと足を使って走ってさえいれば個人の能力も使って構わないというルールがあるからだ。
一応、綱引きと同じように地球人選手が出ると加算ポイントが付くけれど、それでもやっぱり各チーム半数は宇宙人がメンバーだ。
これまで競技の邪魔をしないようにとミャルには鉄壁のガードをしていたけれど、今回ばかりはそれも解除だ。
今のミャルは対抗心に燃えていて、レイア様から応援してくれと頼まれたのもあるし。さすがに興奮して飛び出すようなこともないだろう。
とはいえ様々な種類の宇宙人をじっくり眺められる機会にミャルも興味津々なようだ。
せっかくの機会だし、全宇連へ正式加盟するためにも各宇宙人の特性をよく見ていってほしいな。
「各クラス準備はいいな? それではクラス対抗リレー、二年の最終グループによる決勝戦を始める! 位置について、用意!」
――パン!
熱い声援の飛び交う中、いよいよ始まったクラス対抗リレー。二年A組の第一走者はサッカー部男子、次いで第二走者は陸上部男子だ。
セオリー通りいくなら足の遅いレイア様から走るべきなんだけど、そこはやはり譲れないという事でレイア様はアンカーになっている。
他のチームはといえば、どこもやはり前半に地球人選手を出している。
僕らのクラスはサッカー部エースと陸上部短距離走の強化選手だから順調に先頭を走っていくけれど、二位以下に劇的な差を付けているとはいえない。
とはいえ第三走者のミノレス君まで、バトンは問題なく受け渡された。
ここから他のクラスも地球人と宇宙人が半々ぐらいで出始める。
二年B組からは橘が出てきていて一気に二位に躍り出た。橘はハーフでテニス部だから結構足も速いんだよな。
とはいえミノレス君はどんどん間を空けていく。牛系宇宙人のミノレス君は体格がいいだけでなく、脚力が強く足も速いんだ。
そして第四、第五走者は有翼宇宙人のミカーリさんとアスモドくんだ。
バトンを受け取ると二人はルールギリギリを攻める形で飛びながら走っていく。
ここまで来ると宇宙人生徒同士の戦いになるけれど、ミノレス君が作った差はかなり大きかった。
二位以下に大差を付けたまま、ひと足先にアンカーのレイア様にバトンが渡る。
さあ、ここからが勝負だ!
日曜は更新お休みして、次話は月曜更新の予定です。




