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34.僕の幸せは、此処にありました。

僕は…


僕は、


寂し   かっ   たんだ。


ぼろぼろ ぼろぼろ  涙が溢れる。


僕が、焦がれてやまない欲しかったもの


手に入らないと 諦めたもの


それでも焦がれた 同胞の温もり


僕が欲しかった 仲間の温もりが


ここに、あった。


やっと 見つけた。


ああ  幸せだ。





黒猫の黒丸より、保護猫スタッフの皆さんへ


僕を保護してくれて、ありがとう。

僕は、お母さんを亡くしてから、ずっと一人でした。

僕の餌場のボス猫は、決して僕を仲間に入れてくれませんでした。

どんなに礼儀正しく接しても、僕がオスだったから、

コミュニティに入れてはくれませんでした。

僕は、僕を包んでくれた母の温もりが恋しかった。

人ではなく、同じ猫の温もりが欲しかった。

どんなに欲しくても、ここにいては手に入らないと諦めた時、

僕は、保護される事を選んだのです。


保護された後、自分の運命を切り拓こうと、

ピッカピカに光ってる縁の紐を掴みました。

程なくオファーがあり、トライアルに出かける事になりましたね。

(オファー先は隣県)

家に入る瞬間、

「ココじゃない!この家じゃない!!」

本能が叫びました。

だから、僕は脱走したんです。すみません。

スタッフさんに落ち度はありません。

僕の本能が、そうさせたのです。


奇跡的に3車線の道路を走り抜け、

その先で、優しい桜猫ちゃんに会えました。

初対面の僕に、〈ご飯、一緒にどうぞ〉と、

速攻で受け入れてくれた、優しい素敵な女子猫ちゃんです。

コミュニティには、女子猫ちゃんとオジさん猫がいました。

オジさん猫が言うんです。

〈俺が死んだら、女子猫だけになってしまう。

 雄猫がいないと、危ない。

 俺の後継者にならないか?〉

僕は即答で、宜しくお願いしますと頭を下げました。


ああ、僕が焦がれた家族が、ここに居たのです。

寄り添ってくれる女子猫ちゃんと叔父さん猫。

温かい。

心が満たされる。

僕は、幸せを掴みました。


僕が脱走した事で、一杯一杯心配をかけました。

ごめんなさい。

でも、あなた方に保護された事で、

トライアルに連れてきて貰えた事で、

遠い遠い隣県に居た、僕の家族に会えました。

どうもありがとう。

僕が掴んだピカピカの紐は、

優しい飼い主さんではなく、猫の仲間だったようです。


この先、桜耳の猫として、地域で生きていきます。

どうしても、生きていくのがしんどくなった時は、

その時は、お世話になりに目に付く所に行きます。

図々しいお願いですが、その時は甘えさせて下さい。


姿を見せない時は、元気でやっている証拠です。

たとえ、この命が短くなろうとも、

僕の幸せは、人ではなく、同胞と生きる事なのです。


スタッフのみなさん、どうもありがとう。

今の僕は、心の底から幸せです。


僕は、此処で生きていきます。

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