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16. 月光の下の自由を望む

数頭の野良猫が集う餌場があった。

けれども、そこにご飯を持って行っていた方が不在となった。

急遽手配して、4頭の野良猫は捕獲機に入り保護出来た。


一頭、虎猫君だけが残ってしまった。

この虎猫君、デカイ。大人の立派な猫だ。

憎らしい事に、捕獲機の横で寝そべるも、中に入らなかったと。

お仲間の子達は保護されて、一頭になってしまった。

どうにかして保護出来ないかと、話しかける事に。


「君も、保護される気はないかい??飼い猫にならない?」


虎猫君が、自分の想いを語ってくれました。

『俺は、飼い猫にはならない。檻の中には絶対に入らない。

 俺は前世、実験用のマウスだった。

 ずーっと檻の中にいた。

 檻の中から、月が見えたんだ。

 あの月の光を身体一杯に浴びてみたい。

 あの月の光に包まれて眠りたい。

 月に焦がれたまま、檻の中で一生を終えた。

  

 俺は今世、自由に月を眺めている。

 満月の夜は、月光に包まれて眠るんだ。

 飼い猫になったら月の下に自由に行けないじゃないか。

 檻の中には、絶対に入らないよ。捕獲機に入るわけがない。

 俺は、飼い猫にはならない。


 たとえこの先、餌場を失う事になっても、それでいい。

 なぁ。俺はもう6才なんだ。

 マウスの3倍は生きれた。充分だろ。

 俺は月の光を浴びながら死にたい。

 月の下で眠りたいんだ。

 だから、飼い猫にはならないよ。


 今までと変わらず、餌場にご飯を置いてくれると助かるよ。

 ひもじい思いをしてる小さい子らが、喜ぶだろう。

 俺?俺は今ココにはいない。ちょっと出かけてる。

 ココに戻るかって?

 多分、戻らないんじゃないかな。

 俺は充分生きた。

 ご飯は、コレからの子達に譲るよ。

 小さい子らに、ご飯をあげてくれ。

 

 俺は、月の光を浴びたいんだ。

 その為の自由を取る。』


保護出来なくても、いいんです。

それが、彼の生きる道。



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